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2005.09.06

自分のために生きる~「積み木くずし・真相」を見て

 先週、金曜日と土曜日にやっていたスペシャルドラマ「積み木くずし真相」を見ました。
 舘ひろし、すごかった。あんな役もできちゃうのね。役者だ・・・

 見てない方のために解説をちょこっとすると、かつて、家庭内暴力が吹き荒れた時代、非行に走った娘を更正させた親子の話、「積み木くずし」が本になり、ドラマになったことがありました。私も見てましたよ。
 「積み木くずし」はノンフィクションでして、穂積隆信という俳優さんとその娘、由香里さんの実話です。「積み木くずし真相」ももちろんドラマ的に作ってはあるのでしょうが・・・多分、本物の物語なのだろうなぁ・・・。
 かつての「積み木くずし」というドラマでは、娘が更正のきざしを見せるところで終わっており、荒れる子供達の対処療法として、一つのバイブルとも成り得たのですが。現実は、娘さんはその後も大麻所持等で、逮捕されたりするなどして、その後もいろいろあったらしい。今回放映されたスペシャルドラマは、そういう「その後」を描いたドラマで、「積み木くずし」という本を出し、娘をさらし者にした親、として、主人公が糾弾される場面から始まります。

 由香里さん・・・いや、ドラマですから、ドラマの役名で言いましょう、娘の朋美さんの姿を見ていて、とても胸が痛みました。彼女はドラマの最後に若くして病気で亡くなってしまいます。シンナーや麻薬の影響があったのか、それとも生まれた頃からの疾患だったのか、または、大人になってからの無理な生活がたたったのか、その辺はドラマでは分からないのですが、医師に余命1年と宣告を受けたあとの3年間、周りには気遣わせずに、仕事に勉強にがんばったまま・・・
 彼女の最後の願いは、父親に自分のウエディングドレス姿を見せることだった。最後の残りの人生を、父に「普通の娘」になってみせることに捧げた。
 ドラマではそんなストーリーでした。

 もちろん「ドラマ」なのは分かった上で書くのですが。
 父と母と・・・積み木くずしと・・・それに翻弄され続けた彼女の人生に、なんだか、とても痛ましいものを感じてしまいます。あんな父親も母親も縁を切って、自分の幸せを見つけることはできなかったのかなぁ。結局最後まで・・・いや、亡くなってからでなければ、自分の苦しみを吐露することが出来ずに、最後は「いい娘」を演じて亡くなったような気がしてしまいます。
 彼女は自分のために生きることができたのかな・・・

 いや、もちろん、彼女自身がそう生きることに決めた結果なら、他人がとやかく言うことではないのですが、「誰かのために生きる人生」っていうのはありなのかなぁ?と私はなんとなくそれを痛ましく思ってしまうのです。
 人生は誰もが自分のために生きるべきだと私は思っています。例えばこのドラマなら、朋美ちゃんが自分のために幸せになることができたなら、親もまわりもみんなそれを喜んだことだろうと思う。果たして、それはできたのだろうか?彼女が亡くなった今になっては、誰もそれを知ることはできませんが・・・
 どうしようもない痛みや苦しみにあってしまったときに、人はそれをどう乗り越えたらいいのでしょう。
 彼女のように自分で抱えて苦しみ続けていくしかないのかな・・・そんなのひど過ぎる。死んでからでなく、生きている内に、せめてそれを何らかの形で癒やす術はなかったのかな・・・

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Comments

TBありがとうございます。

本当にねえ、 朋美さんのお父さんを幸せにしたい、という姿はけなげだったなあ、と思いますね。
ただ、nikkouも、たしかにお父さんには、もっと早くに心の傷にきづいてほしかった、という思いはありながら、お父さんお母さんと「縁を切る」という選択をしなくてよかったな、とは思っています。ドラマだけれど、「演じていた」んじゃなくって、本当に「いい娘」だったのではないかな、って。
そうした中で、晩年は友達に愛され、福祉の仕事も充実していたのがいくぶん救いかなあ、とも思います。

なんのために生きるのが一番よかったのか、
どうしたら幸せだったのか、ということは、
おっしゃるとおり、他人にはわからないことでしょうが、
ひょっとしたら、本人だって、その場その場で一生懸命で、よく分からないのかもしれない、とも思ったりしました。

ともあれ、いろいろ考えさせられるドラマでした。

Posted by: nikkou | 2005.09.07 at 13:26

nikkouさん、コメントどうもありがとうございます。
うーん、そうですね・・・
私は彼女があの「ノートを残した」ことがどうもやはり引っかかってしまいます。
もしも、彼女が本当に、最後は、自分の望んだとおり、つまり「演じた」のでなくて、心から自分も幸せだと思えて亡くなったのなら、あのノートは残さなかったのではと思えてしまうのです。
最後まで、苦しみを抱えて・・・本当はお父さんに聞いて欲しくて、でも言えずに・・・
これ以上苦しめたくないという思いと
でもどうしても聞いて欲しかったという思い。
その相克の結果があのノートだったように思えて。
最後まで苦しかったんじゃないかと思ってしまうのです;;

そこまで深い傷を残すほど、レイプって非道い行為だとつくづく思います。
・・・しかし、そんな犯罪を犯す人間はこんなドラマは見ないのだろうなぁ・・・

Posted by: BUBI | 2005.09.07 at 14:29

TBありがとうっございます。コメントも嬉しかったです。
このドラマは本当に家族のありかたを考えさせられましたね。彼女がどれほど苦しんだか、やっと今わかったような気がします。レイプのことは本にも書いてなかったですね。
レイプは家畜以下の悪の所業ですよ。許せません。

Posted by: まめぞ | 2005.09.13 at 23:08

まめぞさん、いらっしゃいませ。
トラックバックもありがとうございます。
レイプのことは、本には書かれていないのですか・・・
でも、まさかフィクションじゃないですよね^^;;;;;;;
ドラマを見ていて、どこまでが演出でどこまでが実話なのかなぁなんてことも思わず考えてしまいました。
たとえば、ラストシーンでお父さんが海に入って叫ぶシーンは、感動的ではありましたが、なぜ海に入るのか、必然性がなく、
「ここは完全に演出だわね」
なんてちょっとひいてたりして(苦笑)。

Posted by: BUBI | 2005.09.14 at 11:16

僕はこの『積み木くずし真相~あの家族
・その後の悲劇』を2005年9月放送と
年末再放送と2回見ました。見たくなった
理由はやっぱり昔1980年代初頭話題
になり、非行少女が立ち直る話だと思っ
ていました。杉田かおるさん、館ひろし
さん、安達祐実さんが主演なので、(他に
も財前直実、武田鉄也、藤木直人など)
豪華キャストだと思ったことも理由の
一つです。それから単純な非行からの
立ち直りの話ではなくて、もっと実は
隠された秘密があるようだと思ったこと
が最大の理由です。
 僕は最後の、娘を失った父親の寂しい
背中を忘れることができません。父親
(館ひろし)が娘の本当の気持ち、悲しい
心情を分かってあげられなかったことの
後悔と、死んだ娘に許しを請う父親の
寂しい背中を忘れることができないと
思います。
 しかし僕は父親を責めるだけで問題が
解決するとは思いません。幼い頃から
体が弱く(これは母親が長崎出身で原爆
後遺症を患っていたことなどが関係しま
すが)、髪の毛が薬の副作用で赤くなった
ために別の少女たちから因縁をつけられ
たり、いじめられたり、別の少年たちに
レイプされたということが、娘朋実(ドラ
マ中、安達祐実、実名は原作によれば
由香利だそうですが)を非行に走らせ、
家に帰っても親がいないという寂しさ
が非行をより促進したようです。
 でも親だけに責任を負わせようとする
個人主義の、考え方では解決しない問題
だと思います。警察、政府、地域社会、
そして学校が不在だからこそ、家庭が不在
だった子供を非行に走らせるのではない
でしょうか。極端に言えば父親不在でも
母親不在でも、誰か一人信頼できる人(
医者でもいい、警察官でもいい、学校の
教師でもいい、隣家の・近所の人でもいい)
がいれば非行は防げるのではないだろうか
と思います。
 それからレイプは犯罪であり、処罰さ
れなければならないことも明らかです。
警察や地域社会が見逃すべきではない。
 それと僕が父親だったら赤い髪の毛
は誤解を与える恐れがあるので黒く染
めてしまうかもしれません。そうすれば
もともといじめられる単純な理由の一つが
無くなるからです。
 僕はこのドラマを2005年では最高
のヒューマンドラマの一つだと思います。
朋実(安達祐実)が立ち直りつつあると
ころで、東真紀さんの「向日葵~一期一会
の命」が聴こえてきて慰められるというか
癒されるという気分になることも確かです。
しかし事実から目をそむけてはならないと
いうことを平井堅さんの「思いがかさな
るその前に」は歌っているような気がしま
す。

Posted by: 金山裕之 | 2006.07.31 at 23:59

コメント、ありがとうございます。
とても、なんというか、みんなに見て欲しい、心に突き刺さるようなスペシャルドラマだったですね。

同じ時期でしょうか、もっと前か、後か、一部ではかなり批判もあった「女王の教室」というドラマのスペシャルを見ました。
それも、愛する自分の子供を、愛するがゆえに、追いつめて死なせてしまうドラマでした。

その子は川に足を滑らせて落ち、溺れてしまうのですが、秋田の実際に起こった事件とも重なり、やりきれない思いがしました。

子供や・・・そして、もちろん大人も。
人間は誰でも幸せになれる可能性や権利を持っているはずなのに・・・

Posted by: BUBI | 2006.08.01 at 10:50

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