確かに白黒つけたがる人は多い
PSE法(電気用品安全法)の4月からの本格的実施の関連のニュースを見て「PSE法ってなんだろう?」と、ネットで検索したコラムを読んでいました。
興味がある方はぜひ読んでみて下さい。
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0602/20/news013.html
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0602/27/news009.html
PSE法というのは、ものすごく単純に書くと、4月からはPSEマークを付けた家電製品しか売っちゃいけませんよ、ということを定めた法律でして、PSEマークを付けるにはその商品が安全かどうか、製造業者がちゃんと検査をしなければならないらしいです。
で、たとえば、今、電化製品の中古屋さんにある古い電気製品なんかはマークが付いてないので、誰かがマークを付けなければ売れないのですが、中古屋さん自身が検査してマークを付けるわけにもいかず(検査をし、マークを付ける義務を負っているのは「製造業者」なので)結果、「うちの商品、4月から売れないじゃないか。どういうこっちゃ」ということでニュースになっているわけですね。
まあ、検査自身は漏電がないかどうかの検査で、そう難しそうな検査でもないから中古屋さんがちゃっちゃとやれそうな感じもあるのですが、そうすると、販売業者が自ら「製造業者」である旨、登録して(登録自体はすぐできそうですけど)製造業者としての責任を負うなんてことになりそれもまたやっかいなようです。
うーむ・・・上で紹介してるコラムを読んでみても、PSE法で本当に規制しようとしているのは新品であって、中古の販売を制限しようというのが目的なわけではないみたいでなんですが。
少々、コラムから引用します。
(引用開始)
つまり、(本物の)中古品は危険だから市場を縮小させるとか、そういう論理でこの法を動かすわけではないということである。むしろ中古品だったから火災になった、という事例は少なく、むしろ電化製品が故障などのトラブルが発生しやすいのは、使い始めて1年未満の、いわゆる初期不良期間が一番多い。実は中古品とは、長期ランニングテスト完了済みということで、実態は新品よりも安全性が高いという見方もできるのである。
【小寺信良・電気用品安全法は「新たなる敵」か (Side A)より】
(引用終わり)
中古品を買って使うこと自体が別に禁止されてるわけじゃないし、要は消費者が安全な電気製品を使えるように、これからは製造者がきちんと責任を負うというのがPSE法の趣旨なのでしょう。ただ、そうなると、中古品の安全は誰が責任を負うのか。製造した会社がもうつぶれてたりしたら?
引用部分の考え方からすれば、中古品は基本的にはみな安全、とも言えるので、中古品は全部対象外にしてもいいのかもしれませんが、コラムによると、それだと新品を中古と偽って検査逃れをする業者もいるので、そうもいかないみたいです。まあ、それはそうだろうなぁ・・・
コラムの筆者は、こう書いています。
(引用開始)
筆者がSide Aで暗に言わんとしたことは、あまり騒ぎ立てると損になる、ということである。経産省に取材して筆者が感じたニュアンスでは、積極的に省庁が音頭を取って中古市場の実体解明に尽くすという感じはまったくなく、実際にはある程度売られてもしょうがないですよねぇという、日本人独特の「お目こぼし」の論理で解釈した方が得だな、という印象を受けた。
現場の中古屋さんに思ったよりも緊張感がないのは、おそらくこのあたりのルールはある程度含みおきだったのではないだろうか。だが、世の中こうした旧日本的な「本音と建て前」を嫌って白黒はっきり付けたがる人は想像以上に多いようで、すでに世界のサカモトまで引っ張り出してしまった以上、もうあまりこの手は通用しないと考えるべきかもしれない。
【小寺信良・電気用品安全法は「新たなる敵」か (Side B)より】
(引用終わり)
逆にニュースになってしまったことで、中古商品を扱う業者は、苦しい立場になっちゃってるんじゃないでしょうか。世界のサカモトさんのニュースはテレビでも見ましたが、有名人っていうのはそういう時に利用されちゃって大変ですね^^;
私もある程度、年をとったせいか、白黒はっきりつけることの弊害を、時々実感します。
法律ってのは、ある意味、マニュアルみたいなもので、マニュアルを作るとそのとおりやればいいから楽は楽なのですが、マニュアルをはずれたときにどう考えるかができなくなって、「法律に細かく書いてないのが悪いんだ」なんてことになる。なんでそういう法律が必要なのか、ってところは置き去りにされて。
「決まってるからダメ、決まってないからやっていい」
という世の中よりも
「しちゃだめとは決まってないけど、そんなことをしたら仁義に反するからダメ」
という方が暮らしやすいのではないかと思いますけどね。仁義の部分はなるべくグレーで残しておいた方がいい。
・・・ああ、でも耐震構造偽造問題があったりして、もう仁義なんかない世の中なのかな・・・法律で縛ると例外がなくなっていろいろと困ることも出てくるのに。ビンテージ物なんて別に大騒ぎしないで、こっそり取引してれば別にいちいち経済省が見に来たりしなかっただろうになぁ・・・なんてのは甘いですか^^;
瑣末なことに拘って、法律そのものをひっくりかえしたりすると、真面目にやってた業者がバカを見ることになってしまいます。どうかそうはなりませんように・・・・
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