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2006.05.08

好きな人にどこまで譲歩できるか

(これは実話ではありませんからね~^^;念のため)

 私の書いている小説のお話の中でのこと。

 ある一組のカップルがいて、同棲をしております。
 結婚こそしておりませんが、ずーっと長いこといっしょに住んでいて、夫婦同然の関係なのですが。
 その内の片割れに、その相手とは別に恋人ができました。
 
 そいつはとても自分に都合のいいことをいいます。
「俺は、ずっとお前のそばにいると約束したよ。その約束を破るつもりはない。だからお前が俺を嫌にならない限り、俺の方から別れるつもりはないんだ。だけど、あいつ(恋人ですな)のことを愛している。お前にはそれを理解して欲しい」

 そう言われた彼女の方は相当悩みます。
 というか、彼女の友人たちはみんな、
「そんなヤツとはきっぱり別れた方がいい」
 と言うんですけどねー。でも彼女はとても彼が好きなのです。

 付き合い始めてから、これまでいろいろ紆余曲折ありまして。彼がそういうタチ・・・つまり、ほれっぽいヤツなのも分かっております。浮気も実は初めてではありません。
 彼にとってそもそも彼女の存在は、「恋人」ではなく「家族」。彼女にとってもまた彼はすでに「家族」です。自分のことを一番分かってくれる、何をしても受け入れてくれる、そういう存在。
 逆に言えば、だからこそ彼は「恋人」を他に作っちゃった上に、それを理解しろ、なんてむちゃくちゃなことを言うわけですが・・・

 彼は、こう言います。
「もしお前が俺との関係をもう続けたくないと思うなら別れてもいい」
 と。
 彼女にとっては二者択一の選択。

 ○彼に恋人がいることを黙認して、このまま同棲を続ける
 ○きっぱり別れる

 もしも、あなたなら・・・どうしますか?^^

 この小説を書いている「私」は、彼女の立場に立つと、とても複雑な気持ちになってしまいます。
 「彼」はもうほんと家族ですからねー。彼のいない生活なんて考えられない。
 彼は、恋人を作ったとしても、いつもの浮気らしい。つまり、彼女を捨てて新しい恋人と同棲する気持ちがあるわけではなく、ただ単に、家族である彼女とは違う、別の存在に恋をしてしまって今はその子に夢中というわけで。
 しかし、浮気と分かっていても、それを理解しろと言われて、おとなしく「はい」なんて言えるわけがない。

 「私」は、一方で、彼の気持ちにもなって小説を書いてもいます。
 彼自身は、まったく二股かけてるつもりはないんです。彼女は彼女、新しい恋人は新しい恋人。彼女は家族だし、別れるつもりはまったくないのですが、でも、今は新しい恋人がとても好きで。
 ずっといっしょにいる彼女のこと、これでも大事にしているのですよ。
 自分はもちろん彼女とは別れるつもりはないけれど、新しい恋人を好きな気持ちも偽りようがなく、もし、そんな自分に彼女がもう愛想を尽かしているなら、別れるしかない・・・そんなふうに思っているわけです。
 やっぱ男の方が都合よく考えすぎてますかねー。
 
 こういう時に。
 彼女の立場になったときに・・・どれだけ人は惚れている相手に譲歩できるものなのかなーと時々考えます。
 彼女としては「別れる」というのは最悪の選択肢。もちろん、世の中、彼だけが男じゃないのだから、別れて別な道を歩むというのが、これが「現実」ならば、相応な決着の仕方なのですが。
 これは小説なので、彼女にとっては「彼」の存在が、唯一無二なんですよねー。

 小説だから、というのは、つまり・・・

 よくある話ですが、昔、彼女が生きるか死ぬかってときに、彼が助けてくれまして。彼女はそれ以来、彼に対する恩を忘れたことはありません。
 その時、この先、何があっても、彼のそばにいようと決めたし、たとえ彼が彼女を恋人としてではなく、単なる家族としか見ていなくても、それで構わないと思っていました。

 しかし、そんな彼女でも・・・どこまで譲歩できるものなのだろうと、物語を作りつつ思います。
 彼が他の誰かに夢中でも、愛想を尽かさずに側にいることって、できるものなのだろうか。
 仮にできるとして、それはやっぱりリアリティーがないのかなー。
 いえ、そこにどうリアリティーを持たせるかってところが、作者の腕の見せ所なのかもしれませんが。

 この小説の「彼」の方は、なんていうか・・・いや、もちろん彼女のこともキライじゃないんですけど、彼女の存在と「恋愛」は別だと思っております。今までも、けっこういろんな恋愛を繰り返してきまして。まあ、そういう男ですから、女性から振られることもしばしば。そんな彼に、果たして彼女は、いつまで愛想を尽かさずに付き合っていけるだろうか・・・というお話だったのか、これ。(自分で言うな)。

 小説のキャラクターとしては、こういう男性を書くのは、けっこう面白いです。
 どこまでも自分本位、どこまでも身勝手、だけどどうしても憎めない・・・そして、何度失恋しても恋に懲りない。そういうところはある意味、すごいと思います。でも現実にいて、そういう男性を好きになっちゃったら、困るだろうなー。
 ・・・なんてね。そんな小説を書いて、いつも一人で遊んでおります^^

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Comments

もしも、「私」が経済的に自立しているなら、別れます。
していなくて「彼」に依存しているなら、都合のいい女としてくっついています。
完全な『母親代わり』で我慢しつつ、「彼」にも、浮気の代償としてさまざまなハードルを越えてもらいましょう。

「もしお前が俺との関係をもう続けたくないと思うなら別れてもいい」

なめんなよ!
私なら、『報復は肝に銘じておけ!』と言いまする~!

Posted by: pg | 2006.05.08 21:21

彼と彼女の甘ったれ加減(?)、何か嫌だなあ。
別れてもいい、とか言いつつ、「私」が別れを選ぶわけない、家族なんだから自分をわかってくれるはず、という考えの上で言ってるように感じます。
なので、私としては「甘えるな」と言ってやりたい。
彼しかいない、で悩んでる彼女にも。

言い方を変えれば、彼は大切だとか家族とか思ったり言ったりしてるけど、結果的には「恋人」の位置から「友達(親友)」とか「お母さん」の位置に「私」を置き換えたからよろしく、って言ってるようなものじゃないかと思ったんですよね。
平気でそういうことを言える人って、人としてどうかと…(泣)。

そんなわけで、これが自分の場合だったら譲歩とか考えられんと思います。
今好きな相手がこんなことを言ったら「ああ、終わった(人として)」と思いますね。

フィクションの話なのに熱く語ってすいません。
「♪それを許さないのは女の罪♪」
というフレーズを思い出しましたが、許せないものは仕方がない(-_-;)

Posted by: | 2006.05.08 22:28

うふふ、pgさん、湊さん、コメントありがとう~♪
とっても参考になります。

たとえば、ろくでもない男を好きになってしまったとして「男はあいつだけじゃない」っていうのは、まったくもって真理なのですが、自分が実際その立場になったときに、果たしてそれは、本当に、当事者にとっても真理なのだろうか?と、考えてしまいます。

彼女が、彼と別れる選択をしたとして。
それで彼女は幸せになれるんだろうか?

小説の作者である私が、彼女にそういうストーリーを作ってあげられるといいんですが。

実は、彼女はお話の中で、一回、彼に見切りをつけて別れかけたことがありました。
別れて別の人と付き合ったんですね。

その別の人は彼女にこう言います。
「結局、お前はあいつ(彼のことです)に利用されてるだけなんだ」
うーん、いや、そのとおりです^^;

作者もがんばりましたよ。
なんとかして彼女を彼から引き離そうと。
だって、やっぱ普通に考えれば、別れた方がいいに決まってる~
しかしどうがんばっても、彼女はまた彼の元に戻っちゃうのですよねー。

彼は彼で、その、一度別れた時に、彼女が大切な存在だと思い知ったはずなのに、懲りずにまた恋人作ってるし。
何人目だよ、まったく~。

ともあれ、この小説、普通に書いたら、非常に女性受けしなさそうだなーというのがとてもよく分かりました(爆)。
もしくは「彼」をめちゃくちゃかっこよく書くかしないとねー(どんな小説だ)

Posted by: BUBI | 2006.05.09 00:59

BUBIさんこんにちわ~。
小説の中とはいえ、現実にもありそうなお話ですね~(^_^;)
『あまり幸せとはいえなさそうな恋愛(二股とか不倫とか)』をしている人にとって一番大切な事って、彼が自分にどうのというよりも、『自分が彼を好き』というのが一番大切なんだと思います。

だから何も見返りを求めない・・・『無償の愛』なんじゃないかな~?
無償の愛なら、与えて与えて与えつくすのだぁ!!

それで『こんな男に惚れちゃって、あたしもバカだよね~』とケラケラ笑っていられればそれはその人の幸せなんだと思います。その人はきっと綺麗だと思います。

でもそこに一滴でも『我慢してればいつか』な気持ちがあったら、それは無償の愛じゃないから不幸かも。時間が経つほどに卑屈になってくるだけだと思います。

でも無償の愛なんて本当にあるのかな~?無償の愛をささげても揺るがない『自分自身』もまた保っていかないと続かないですよね。

強烈な自我がないと出来ないと思います。たとえるなら与謝野晶子みたいな。

でもそういういろんな葛藤と、きちんと向き合って戦ってきた人は、やっぱり綺麗だと思います♪たとえその男と別れてても別れていなくても・・・。

そんなわけでこの彼女は『戦って』ないので不幸だと思うのであります。

Posted by: Rucca | 2006.05.11 12:02

いらっしゃい♪Ruccaさん。
とてもいいコメントをいただいてちょっと嬉しくなっております。

そう、彼にとって、自分がどう思われているかは関係なく、自分が彼をどう思っているかどうか。
「揺るがない自分」を保っていけるか。
そこなんですよね。

私は。
女性の幸せって、男性に幸せにしてもらうだけが全てではないと思っています。

というか、まあ、そもそも幸せって「してもらう」ものではないからなぁ。

いかに主体的に「誰かを愛せるか」にかかっているのではないか、と。

そう考えた時に・・・
彼女がどこまで彼を愛していけるか、というところがまさにこのエントリーのテーマ、でありました。

この小説の「彼」がまたろくでもないのが、この設定の極端なところではあるのですが、
多かれ少なかれ、世の中には
「なんであんな人を好きになっちゃうんだろう」
ってことはよくあります。

でも、その「あんな人」さ加減を、相手の責にするのではなく、そんな部分を含めた「その人」を丸ごと、どこまで好きでいることができるか・・・

まあ「許せない」と思ったらいつでも別れればいいのですからねえ^^
人間ってどこまで「許せる」のかなぁというのが素朴な疑問としてあったわけです。

あまり普通の人の感覚と離れてしまうと、小説としては感情移入してもらえなくなって失敗しちゃうので(「そんなヤツいないよ」で終わっちゃう)今回のみなさんのコメントはとても参考になりました。
小説はフィクションなので、普通過ぎてもつまらない。彼の無茶苦茶な言動に、そして彼女の情けない逡巡に、猛反発を喰らうくらいでもしかしたら、ちょうどいいのかも!?

Posted by: BUBI | 2006.05.12 11:45

今さらなんだけどTB送ります.(但しココログなので上手く送れるかどうかは,神のみぞ知るですが)
すっかりBUBIさんの意図したテーマからはずれ,「なんじゃ,この男は!」と憤慨しているだけで申し訳ないエントリーですが,お許しを.

ダメな男を好きな女もいますね.私の友人にもいました.(そうだ,これも書いたことあったっけ.TBさせていただいてよろしいかしら?)

そういえば,この男の恋人は彼女の存在を知っているのかな?そうするとその恋人も,彼女の存在をどこまで許せるかということになりますね.実は,その恋人の立場になった友達が2人もいて,私らは「アホみたい.別れなさい」とさんざん言ったものでした.でもそのときはどうしても別れられず,「向こうの人といるときより,私といるときの方が自然なのよ」とか訳のわからない反論が返ってくるばかり.
でも結局は,二人とも別れました.その頃は私たちも呆れてて,何も言わなくなっていたんだけど,次の男が見つかると(言い方がわるいですが),ふっと冷静になるみたいです.
『男の傷は男で癒す』と思っている私なのです.

Posted by: とと | 2006.05.13 00:27

「男の傷は男で癒す」。
ふふふ、ととさん、かっこいい~♪

一人の男と別れても、すぐに次の男が見つかるほど、女としての甲斐性があるなら、もちろんこれは真なり、です^^

ただ、たとえば私なんかはそういう甲斐性0だからなぁ。好きになった人と別れて、もっといい人と巡りあえるなんて、それこそ小説でもない限り有り得んと思っちゃいます(苦笑)

ちょっと青臭い考え方かもしれませんが、「好きになる」というのは、理屈を越えたところにあるような気がするんですよね。誰でもいいわけじゃない。「その人」でなければいけない理由がやっぱあって。それはやはり代替不可能なのではなかろうかと。

一度好きになった人と、嫌いになったのならともかく、そうでなくても、別れてもっといい男を捜すなんて、できるものなのだろうか?
いい女だったらできるのかな?
分からんな~

だからといって、自分勝手な男の言い分を通す理由にはならんとは思いますけどね^^

Posted by: BUBI | 2006.05.13 02:01

>ただ、たとえば私なんかはそういう甲斐性0だからなぁ。

あら?何言ってらっしゃるの!こんなに瑞々しい感性をもち,自立して生きているいいオンナのBUBIさんがそんなこと言っちゃいけませんわよ.
好きな男にはバシバシ"好き好き光線"を出して,振り向いたらちょっとじらしたりして,遠慮せずにいいオンナぶりを見せ付けちゃってくださいな.

>別れてもっといい男を捜すなんて、できるものなのだろうか?

はい,できます.(キッパリ)
いい男かどうかは自分の基準なのですから,自分が成長するにつれ外見にこだわらなくなったりします.だから他の人が見たら,もっといい男になったのかどうかはわからないけど,成長した自分が選んだ男は,以前の男よりいい男です.

そのためにも別れを持ち出す方の責任として,相手が自分に気持ちを残さないようにきれいに立ち去って欲しいと思うのですな.

Posted by: とと | 2006.05.13 16:57

 あはは、ありがとうございます、ととさん。好きな人には、好き好き光線は出してますが、どうも駆け引きというのが苦手なせいか無視されたり、気付かないふりをされたり、かわされたり・・・そのたびにグサグサきます。
「思わせぶりな態度なんかしてたらラチがあかん」
 ということで思い切って告白すれば、
「恋人としては見られない」
 つーこって^^;
 笑わずにはやっとれませんわ~。
 
 でも、まあ、人生に一度くらい、このくらい好きになれる人が見つかったのは、私の人生って幸運だったのだと思っています。
 
 次があるのかなぁ~
 まあ、個人的にはもういいんですが・・・「伴侶」はいなくても生きていかれそうな気がするし。 

Posted by: BUBI | 2006.05.15 09:31

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