poem(46)
「根拠」
きみを失うなんて考えたことがない
ずっといっしょにいられると信じていた
それが何の根拠もないことに
今朝いきなり気付いてしまった
だって手紙も届いたことがない
電話番号も知らない
今日も明日も明後日も
お互いがそれぞれの場所で
幸福でいられるなんて
なぜ何の疑いもなく
信じていられたのだろう
『今日きみを失うかもしれない』
そう思ったら怖くなった
『明日きみを失うかもしれない』
きみのいない世界でも
臆病な私は死ぬことさえできはしないだろう
「もう二度と会えないかもしれない」
そう思ってきみの側で泣いた
あの夜にもう一度 還(かえ)りたい
「またいつか会える」
根拠などなくても
信じなければきっと
私にとっての未来は
私にとっての明日は
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