「ゲド戦記」を読みました。
子供の頃からファンタジーが大好きで。さまざまなファンタジー小説を読んできましたが、「ゲド戦記」は名作、との噂を聞きつつ、今まで読まずに来てしまいました。映画が公開されるという今頃になって、やっと購入。読んだのは一作目、「影との戦い」です。
う~ん。普通、ですね^^;
なんと言えばいいのか難しいのですが、ファンタジーでは全てが「よくあること」。
自分の影の部分と戦うという展開もそうならば、ゲドが影を呼び出してしまう経緯も目新しい展開がなかった。まだ、ハリー・ポッターの方が、定石をはずしてるところもあって面白かったかも。
でも逆に、私が読んだ今までのファンタジーが「ゲド戦記」の亜流だったのかもしれませんので、「ゲド戦記」の価値は確かにあるのだと思います。「ナルニア国物語」もそうですが、つまり、これが「ファンタジーの常道」。水戸黄門だと思えばいい。
ちょっと期待し過ぎちゃったかな^^;
もっと、今までに読んだことのないような、すごい話なんじゃないかって。
そんなことはなかった^^;
せめてもう少し若い内に読めば違ったかなぁ。
ただ、一つだけ思ったこと。
「カラスノエンドウ」という、ちょっと武骨な、ゲドの親友がいまして。ハリー・ポッターと同じくらいに魔法の天才と言われるゲドに比べると、ごく普通の魔法使いなんですけどね。ファンタジーだろうが、リアルだろうが、どんな世界にもカラスノエンドウのような人は必要で。
私は、とっても平凡な人間なので、ハリーにもゲドにもなれませんが、カラスノエンドウみたいな人にはなりたいなぁ、なれればいいなぁと思いました。
・・・そうか。今、ふと思いました。
「ゲド」という人物があまりにも「普通」なんですねー。
功名心があって、妬みや憎しみがあって。なんで先輩の「ヒスイ」の冷笑を受け流せないのやら。カッとなってキレるし、何も教えてくれない師匠には不満だし、分かりやすいったら。で、影を呼び出しちゃって大けがをしてからは、怖くて逃げ回り、近寄っちゃ行けないと言われてるところに自分から近寄り、手痛いしっぺ返しを食って、自分から縁を切った師匠のところに舞い戻る。アホじゃないか、と(笑)。なのに周りの人はけっこう、ゲドに優しい。学院の先生も、師匠も、親友も、ゲドを迎えた村人も。でも、ゲドはそれに感謝しているんだかどうだか。・・・ったく自分一人だけが苦労しているような顔をしちゃってさー(爆)
考えてみればここまでかっこ悪い主人公って、ファンタジーには珍しいかもしれません。
なんだか後世は「ゲド」って偉人になるらしいのですが、「影との戦い」では、徹底して情けない姿に書かれているます。「ゲド」って聞くだけで、えらい人なんだと、読み始めた最初から先入観で読んでるから(だって映画だと菅原文太が声をあてるようですし)、思ったよりもかっこよくないゲドに幻滅してしまったのかもしれません。
この普通っぽさ・・・もしかすると「ゲド戦記」って、そんな「普通の人」の物語かもしれない。
なんだかそう思ったら、「普通」よりは面白いような気もしてきた。これから読む人は、ゲドのダメダメぶりに注目して下さい。ツッコミ入れながら読むと面白いかもしれませんよ。
さて、ちなみに。ジブリのアニメによる映画もすでに公開されています。
・・・公開レビューを見てみたら酷評の嵐でした。あらら^^;
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