金は人を狂わせる・・・のかな
山崎豊子の「沈まぬ太陽」という小説を読んでいます。
友人の薦めで読み始めてやっと4巻まできました。全5巻あり、3巻で御巣鷹山の日航機墜落事故を扱っている作品です。ちょうど、事故が起こった8月に、その3巻を読んでいたので、とても感慨深く感じました。
労働組合の役員についたことで「アカ」というレッテルを貼られて苦労する主人公だとか、その主人公に献身的に尽くす奥さんとか、『昔の小説だなぁ~』と思ってしまうのですが、なんとか嫌にならずには読めています。
ただたまに、国語力にはかなり自信がある私でも、分からない言葉があるんですよ。皆さんは、「村夫子(そんぷうし)」っていう言葉の意味、分かりますか?
goo辞書によると・・・
そんぷうし 3 【村夫子】
村の物知り。田舎の学者。
「―然とした人」
〔軽い嘲笑をこめて使うこともある〕
主人公を、僻地へ左遷して悦にいる、会社幹部の描写に使われているのですが、なんというか・・・辞書の言葉だけを読んでも今一つ、ピンと来ないんですよね。村夫子然とした人ってどういう人なんだろう? 京極堂みたいな人かしら?(こらこら)
さて、そんな「沈まぬ太陽」ですが、4巻に入ると、墜落事故を起こした航空会社の再建のために、官邸直々の依頼を受けて会長に就任する、正義の味方、「国見」さんという人が登場。1巻&2巻で、会社から差別され不遇の目に合わされた主人公もやっと認められ、会長の招聘を受け、会社の改革に協力する・・・という展開になりそう。やっと面白くなってきました(苦笑)
ただ4巻をざっと読んで思うのは・・・悪役の書かれ方が凄すぎ!
1巻、2巻でも、どうして主人公がそこまで、会社側から敵視されなければならないのか、「アカ」というのがどういう意味を持つのか、正直分からずに戸惑うことばかりだったのですが、4巻でも、会社のトップ達は、自分の保身と出世のことばかり考えてるし、組合つぶしに暗躍した悪者達は、組合費でクルーザーを買ったり、接待ゴルフに明け暮れたりしている。
はぁ~・・・凄すぎますが、一時代前って、仕事するというと接待ゴルフだった時代がほんとにあったんですよね。
一方で、国見会長のように、戦中の記憶もあり、「二度目の徴兵を受けたつもり」で、国民の批判にさらされるのが分かり切っている、大事故を起こした航空会社の会長を拝命するような武人もいる。「地上の星」の主役を張れるような人達です。
善と悪にこうして極端に分かれる登場人物の書き方は、これが現実、ということではなくてもしかするとこの小説家の特徴なのかもしれませんが、個人的には理解するのが大変です。
それとも・・・人間て、やっぱり大金を目の前にすると、自分のために使いたくなっちゃうんだろうか。
出世していつかは社長になるために、政治家に実弾をぶち込んだりしたくなるんだろうか。
・・・理解できない^^;
私は金にも権力にもほとんど興味がありません。そりゃ暮らしていくのにお金が必要だし、その意味で大切だとは思いますが。金をもらって、それで動くような政治家は最悪だし。
でもこの小説では、それが当たり前のように行われている・・・
私は・・・政治が金で動く時代は終わったと信じたいです。
利権っていうのはまだあって、自分が儲けることしか考えてなくて、政治家にはお金をあげて、自分に何か得をさせてもらえるとしか考えてない人たちはもちろんまだしつこく生き残ってはいるんですが。(長野県知事の選挙結果を見るとちょっとそう思う^^;)
「沈まぬ太陽」は小説で、それもちょっと古い時代の物語だと・・・信じたいなぁ。
逆に正義の味方もいなくなってるのが、今の世の中、なんですけどね。
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