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2007.02.18

「博士の愛した数式」

 映画「博士の愛した数式」を見ました。(少々ネタばれしております。ご注意ください)

 この映画に登場する数学の博士は事故で80分しか記憶が保てない、と言う人です。それがどういうことなのか・・・思いを馳せながら、私たちは、家政婦の深津絵里の視点から、物語を追っていきます。

 特に映画が終わるまでにドラマティックな何かが起こるわけではない。
 博士が全てを覚えていられるようになるわけじゃない。

 けれど・・・

 私ね、人の一生そのものが線分なんだなぁと思いました。
 終わりと始まりがあって、その前もその後も分からない。前世とか生まれ変わりとかあっても、私たちには感知する術がないですもの。

 ちょうど博士が80分しか覚えていられないように、私たちもせいぜい80年の記憶しかない。(だから「80分」なのかも!?)
「どうせ忘れてしまう」
 んですよね。

 博士の中では、阪神の江夏がずっとヒーローであるように、私たちが今信じていることも、100年たてば、無意味なこととなってしまう。大切な思いも愛した人も0に戻ってしまう。それは博士の感じていた「絶望」以外の何者でもなく。

 それでも。
 私たちは一瞬、一瞬を生きていく。
 人を愛していく。
 たとえ一瞬あとには忘れてしまっても・・・

 博士はこう言いました。ホンモノの直線は私たちの心の中にしかなく、表現しようとすれば、それは線分でしか表せない。でも本当の真理は心の中にあるのだ、と。

 私たちの生、然り。
 命がたとえその場限りだとしても、目には見えない何かが、始まりも終わりもなく永遠に存在していて、私たちはその一部なんだ・・・

 ・・・どうでしょうか・・・
 原作は読んでないのですが、多分、この映画は、博士の姿を通してそういうことを伝えたかったんじゃないかと私は思いました。

 念のため、お断りしておきますが、私がそう思うだけで、そんなことを押し付けがましく言ってくる説教くさい映画ではないです。博士と深津絵里とそして√たちを見て、見た人が、それぞれいろんなことを感じればいい。

 私、実は映画を見ているときは「博士の愛した数式」の答えが、=0の意味がよく分からなかったのです。でもこれを書いていて、「だから=0なのかな」とちょっと思います。数学って実はロマンチックなものなんですね。

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丁寧に丁寧に、書き言葉が話し言葉に、 置き換えられていく。 小説を原作にした映画作品は多くあるが、僕は、ここ数年の邦画で、これほど原作がもっている気品を大切にしながら、当の作家も感動するような、映像化に成功した例を知らない。書き言葉を、話し言葉に。それは、簡単なように見えて、そうではない。また、季節や、背景や、小道具や、つまりあらゆる舞台装置を小説家は読者にイメージ化させようと文章で工夫する。映画は、映像で、�... [Read More]

Tracked on 2007.03.01 19:08

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