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2007.02.23

「黒馬物語」

 子供の頃、小学館の「少年少女世界の名作」という全集が家にありました。
 昨年までは実家にあったのですが、じゃまだからということで捨てられたっぽい^^; 買ったのは、7年前に亡くなった私の母だったのですが、父は、本とかほとんど読まないからなぁ・・・もったいない~

 その全集で読んだ物語の内、おそらく一番気に入っていたのが、今日の表題の「黒馬物語」です。
 何が面白いって、これは馬の一人称小説であるということ。
 今でこそ、子豚の一人称で語られる冒険ストーリーで「ベイブ」なんてのもありますが、当時は「馬」が「ぼくはそのときこう思った」という話って、新鮮な感じがしたものです。
 
 で、昨日たまたまレンタルDVDのお店をぶらぶらしていましたら、なんと、この小説って映画化されてたんですねー。びっくり。早速借りて見てみました。

「ブラック・ビューティー/黒馬物語」

 製作は1994年か・・・もしかしたら、日本で公開されてなかったのかも?

 映画は、実はちょっぴり退屈です。環境ビデオみたいな感じですね。黒馬はきれいなのですが、語りが少なく、そこは映画だから映像で見せるのは当然としても、原作の魅力が、黒馬の語りで、読んでいるこちらを馬の気持ちにぐいぐい引きこむところにあるため、映画になっちゃうとあんまり面白くない^^; まあ仕方ないのかな。
 
 ただ、そこは差し引くとしても、映像になったことでの新たな発見はいくつもありました。
 
 主人公の黒馬は、いい牧場で生まれ、いい調教を受け、お金持ちのお屋敷に引き取られます。そこには馬思いの世話役がいて、その中でもいろいろドラマはあるものの、同じお屋敷の雌馬「ジンジャー」に恋をしたりもして、概ね楽しい日々を送ります。
 原作でははねっかえりの「ジンジャー」がなかなかかわいいのですが、映画では一言もセリフがないのがちょっと残念でした。
 世話役には息子がいて、その息子の失敗で、主人公の黒馬は一時、死にかける、なんてエピソードがあります。その息子は責任を感じ、治るまでずっと黒馬につききりで世話をするのですが、ここは原作よりも、息子「ジョー」と主人公の黒馬の友情がより強調されて描かれていました。

 人間の視点だとそうなるでしょうね。

 映画と原作の違いは、一番はそこで。映画ではその後、何度か、黒馬が「ジョー」を思うシーンがありましたが、原作では、主人公の黒馬にとっては「ジョー」も、彼の身の上を通り過ぎていった人間の一人に過ぎません。
 黒馬は、映画ではその後、いろいろつらい目にあったとき、ジンジャー達と過ごしたお屋敷での楽しかった日々を思い出すのですが、原作ではそういうシーンはないのです。
 
 動物というのは、おそらく人間と同じようには「思い出」って持たないものだと思います。
 だからこそ。つらくあたってはいけない。
 人間は、今はつらくても、楽しかった日々を思って耐えることができる。昔、楽だったのに、なんで今はつらいのか、なんて、不平や不満を言うこともできる。自分で、どうこのつらさを乗り越えたらいいのか考えて、そこから抜け出す努力をしようとすることもできる。

 でも動物はそれができない。今、そのときを耐えるしかない。与えられた環境の中で、他と比べたり、昔と比べたりすることもできず、その時その時に全力を尽くすことしかできない。

 私にとって「黒馬物語」という小説はそういうことを教えてくれた小説でした。
 だから、ちょっぴり、この映画の作りには不満なんですよね。原作の方がいいな、と思っちゃいます。

 黒馬はその後、お金持ちのお屋敷から、別のもっとお金持ちの屋敷に引き取られますが、そこで、ある事故にあってしまい、膝を痛めてしまいます。そのため、貸し馬屋に売られてしまい、そこでかなりつらい日々を過ごした後、今度は、都会で辻馬車の仕事をすることになる。
 映像で見ると、その「郊外に広い屋敷を持つお金持ち」と「都会の石畳の雑踏で貧しい生活を送る人々」のギャップがすごいのにびっくりですよ。馬もびっくりしていました。なんて人が多いんだろうと。そして木や土はどこに行ってしまったんだろうと。このシーンは原作にはないので、とても新鮮でした。辻馬車というものも初めて見ました。こういうのは映像ならではですね。当時の光景が再現されていて面白い。

 辻馬車の仕事では、貧しいけれど馬思いの主人とともにがんばって仕事をしますが、馬よりも主人の方が病気で働けなくなってしまい、黒馬はまた売られてしまう。穀物を運ぶ馬車の馬として二年酷使された後、ついに倒れて、また売られてしまう。穀物を運ぶ馬車、重そうだったなぁ。そういうイメージはやはり読むのと見るのでは見る方がストレートに伝わってきますね。

 痩せて、元気で美しかった頃の姿が見る影もなくなってしまった黒馬。そこでジョーと再会します。
 原作では、ジョーが黒馬に気付きます。馬は覚えていないんですけどね。ここも、人間と馬の違いが現れるシーンで、私はこの方が好き。
 映画では、馬が先に気付きます。で、必死にジョーに気付いてもらおうとがんばる。そしてジョーが振り向く。ジョーが思い出す。感動の再会、と。
 黒馬は、その後、ジョーのところで穏やかな余生を送りました・・・というのがこの「黒馬物語」です。
 ハッピーエンドで、救いを残した終わり方。ほっとします。恋人の「ジンジャー」は同じように辻馬車でこき使われて、死んでしまったりもして、現実の馬はそういう末路を辿る方が多く、黒馬はまだラッキーだったんだろうなぁと思います。

 いろんな物語を思い出すたびに、もし自分に子供がいたら、これも読ませたい、あれも読ませたいと思います。この話もその一つ。お子さんが居る方はぜひ。お勧めです。 

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