« 女性の価値とセクハラ | Main | 和漢箋その後 »

2007.03.29

poem(56)

「南風」

南からの風が吹いている
私は風に向かって立っている

足下はどこまでも続く砂
目や耳に時折砂粒が入るようだ
口が乾いてくる
目を開けていられない
それでも南風に向かって立っている

進みはしない
後戻りもしない
ただここにいることをきみに示すために
何もない砂の中にただ立ち続ける

きみは私を忘れないだろう
でも砂の中に立つ私を
振り返りはしないだろう
望みさえすれば自分の足で歩き出すことができるものを
立ちすくませるのはすでに思い出でさえない


凍てついた空にオリオンが光る
月のない星空の下
彼方に沈むのは海か

海まで歩め
歩くことを忘れる前に

|

« 女性の価値とセクハラ | Main | 和漢箋その後 »

」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference poem(56):

« 女性の価値とセクハラ | Main | 和漢箋その後 »