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2007.05.21

いつも一人だった

 たまに思うのですが、人間って、みんな、自分が作ったフィクションの中で生きています。
 
 本当の「現実」には「混沌」しかなく、本来、ストーリーなどないものです。ネコもイヌも道端に咲く花も、あるがままにその瞬間を生きている。彼らには過去も未来もない。

 人間だけが、本来、意味のないものに、意味を見つけ出しながら生きている。それがとても不思議に感じられることがあります。

 意味を見つける時に、自分の姿を反映してくれる鏡があると分かりやすい。だから、人は一人ではなく、家族や友達という他者の中に自分を置きます。自分に似た『友達』や、自分に「あなたはこういう人間である」という解釈を与えてくれる『親』、または自分を頼ってくれる『妻』『夫』『子供』・・・
 
 周囲の人間に役割を求められれば、人はその役割を自分のストーリーだと思うことができます。決められたストーリーどおりに生きることは迷いがなく、周囲とも調和して生きていくことができる。

 では、一人で放り出されたとき。あるいは、親に求められた「役割」が自分のストーリーではないと感じた時。その時、人は何者であろうとすると思いますか・・・?

 「友達できず、いつも一人だった」

 福島県会津若松市で、自分の母親を殺し、首を切り落とし、その首を持って警察に自首をしたという高校3年生の少年の事件がありました。

 「友達ができず、一人であった」ということがどういうことか。ちょっと考えてしまいました。「友達ができない」ことや「いつも一人である」ことに関しては、私はかなりエキスパートです。

 人はやっぱり、自分を映す鏡がなければ・・・自分に与えられた役割があるストーリーがなければ、生きられないのだと思います。
 で。おそらく、それを、周囲の人間ではなくて、自分の内の世界に求めた時に、その人間の在り方は、世間の常識と離反し始める。社会との繋がりを断ち、自分だけのストーリーの中で、自分の意味を定義づけする。

 これ、意外に簡単にそっちへ流れていってしまうような気がします。想像力、自分の内にストーリーを作る力が強ければ強いほど。

 以前、神戸で近所の子供を殺害し、頭部を校門において、新聞社に犯行声明文を送りつけた少年がいました。「酒鬼薔薇聖斗」。もちろん彼と、今回の事件がすっかり同じであるわけはないのですが・・・

 自分の生に自分でどう「意味」を見いだすか、という深い課題に最初に突き当たる思春期に・・・簡単に道を踏み外す少年達がいることを、かつて友達もなく、一人だった私は、こういう事件が起こる度に、ついいろいろと考えてしまいます。
 まさにあの頃は「DARK AGE」・・・
 
 あれから十数年。私はずいぶん遠くまできました。自分の「生」の意味なんてそう簡単に見つかるもんじゃなく。この年になったって、私は自分の答えが見つかりません。けど、そんな私でもなんとかやれているので・・・
 この、同じ世界、同じ時代に生きる、少年や少女たちが、あの苦しい時代を乗り越えて、どうかここまで来て欲しいと、私は今も祈ることしかできません。


【和漢箋服用は中断中の13週間目】※和漢箋使用開始時を0とする
5月21日 -2.0キロ

※今週はここからスタートです。

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Comments

生や死について、ものすごく真剣なんだけども無造作に考えていた時代って、誰にでもありますよね。
たぶん、中学生くらいがそうなんでしょうね。
そんな時代に、大勢の友人に巡り会えた私は幸せでした。
でも、友達は決して待ってても増えないんですよね。自分から垣根を超えて行かないと、永遠に増えないんですよね。

そんな垣根の超えかたって、誰に教わったんだろう。
生まれ持ってるはずは無いから、誰かから学んだんだろうね。
そう思うと、現代の子は、そう言うことを学ぶ場所が無いのかもしれませんね。

いつか、そんなことを学ぶ場所を作ってみたいなって思います。

Posted by: ちはる | 2007.05.21 22:48

>ちはるさん
>いつか、そんなことを学ぶ場所を作ってみたいなって思います。

おお~、素晴らしいです~

私が思うに、周囲から孤立してしまうのって、自分に自信がないからなんですよね。

自信がないから友達の前に自分をさらけ出すことができない。

・・・では自信がないのはなぜか?

誰かに必要とされたり、愛されたりした実感を持ったことがないからです。
(言葉にすると使い古されたフレーズですが^^;)

誰かに必要とされること。
愛されていることをちゃんと感じること。
それはどちらも本当は、そんなに難しいことじゃないんだけど。

いつかそんなことを学ぶ場所をchiharuさんが作ってくれることを期待しております^^

Posted by: BUBI | 2007.05.22 11:30

宮部みゆきが、小説の中で、
キャラクターにこんな事を言わせています。

「孤独はそれだけなら何も悪い事じゃないのに、
悲しみとか憎しみなんかとくっつくと、
やっかいなものになる」

今、本を貸しているので、
正確な言い回しではないんですが、
一人で放浪しているキャラが、
自分はいつも一人だったけど、
それを何とも思った事がない、
って言って続けた台詞です。

だから私には、その少年、
ひとりぼっちだった事のほかにも、
何かあるんじゃないかなって思うんです。

少年犯罪の原因として、
家庭環境なんかを含め、
母子家庭で育ったからとか、
親が子供をかまわなかったからとか、
言われがちですが、
同じ環境の人がみんな同じ事をするわけじゃありません。
何か、複数の事が折り重なっているんでしょうね。

だけど、ほんと、
こういう事件はなくなってほしいって思います。

Posted by: あきら | 2007.05.23 09:41

あきらちゃん、コメントどうもです♪

一人でいても、悲しみや憎しみと無縁でいられればよいのですよね。
いっそ「感情」なんてなければ、悲しむことも憎むこともないか。

・・・おっとっと。感情がなくなったら、人殺しも簡単にできてしまいそう^^;
いけない、間違えるところでした。

「悲しみ」や「憎しみ」の感情は必要で。
だけど「孤独」を悲しいと思わなければいい。

一人でいても悲しくないのは、きっと、心の内では一人じゃないからなんだろうな・・・私はそんなふうに思います^^

Posted by: BUBI | 2007.05.23 12:19

BUBIさん、こんにちは。

今回の事件、私と同じ歳(来月でですが)の母親だったので、何だかショックでした。
「どうしてこういうことをしたのか?」っていう問いに「別に」って答えたっていうのも…。

1人でいることが大丈夫な人もいるし、友達がたくさんいるように見えても実は寂しい思いをしているっていう場合もあると思うのですが、彼の場合、中学まではとても人気者だったのにっていうことが言われていますよね。
環境が大きく変わって順応できなかったってことだと思うのです。
それでどうして猟奇的になるのか分からないのですが、心の中のどうしていいか分からない思いが、どこにも行き場がなくて、誰かに助けを求めることも出来ず、気付いてもらえることもなく、そういう場所に行き着いてしまったってことなのでしょうか。
悲しいです。

Posted by: チカママ | 2007.05.25 14:35

チカママさん、いらっしゃい。

思春期の頃は、
「自分が何者なのか」
ってことにとても悩む時期で。

自分が全能で何でもできる世界と、
なかなか思うようにいかない世界と、
目の前に二つの世界があったら、前者に目が生きがちになる心理はなんだかとてもよくわかるような。

他人と付き合うのは
「自分の思うように」
なんかいくわけないですもの。

昔と今で、子供たちの環境が変わっているとすれば、私は「思うようになる世界」がカンタンに目の前に広がっていることだと私は思っています。

一人の人がみんなおかしくなるわけではありません。

私が思うに一番の問題は・・・
人付き合いのわずらわしさやいろいろなうまくいかないことから逃げて、現実じゃない世界にいってしまうこと。
そういう「現実じゃない世界」がなかったら、逃げようがありませんが、今はありますからねー。

Posted by: BUBI | 2007.05.27 13:49

ちょっと気になった記事だったので、コメントさせてくださいね(_ _)
私は現在27歳ですが、友達と呼べる友達もなく今まで過ごしてきたように思います。その場その場で、たまに一緒に遊びにいく仲間などはできましたが、その場を離れるとそれっきりでした。
私はよく、他人が思う自分に納得がいかなくてそれを受け入れないことが多々あるのでそれが原因かと思いますが、自らきちんと考える為に一人を選んで来た感もあります。私は他人まかせにするのを嫌い、自分の世界の中で生きて来た人間なんだと思います。
けれど、自分がよくないと思うことはしたくないというのもあって、私は孤独でも殺人を犯したりはしないのですが…。
私はよく他人に孤独に強いと言われますが、誰に何を言われても大丈夫、誰も自分を認めてくれなくても大丈夫、そんなことより、自分がすべきだと思ったことをしていこう、という姿勢でいます。
情報や価値観が散乱したこの世界の中で質のいい人生を送るためには、自分の世界をつくり上げること、つまり、しっかりとした自分の世界観や見方を育てることが大事かなと思います。一人にならないように努力することより、一人でも大丈夫な自分をきちんと育てることが大事なのかな、と。

Posted by: あい | 2008.08.19 11:24

あいさん、はじめまして。

私はあいさんよりもかな~り年上のAround40です~

一人でも大丈夫な自分になるのは、今の時代、実はそう難しいことではないのです。

もっと難しいのはそういう、一人でも大丈夫の向こうにある、もう一人の「一人でも大丈夫」な人と出会い、共に生きることができるようになることなんですわ。

そうなれなければ、人は永遠に孤独から逃れることはできません。

もちろん人と生きるためには、まず自分がしっかりしないといけませんし、相手のことも一個の人としてきちんと受け入れたり認めたりできないといけないのですがね~

多分、この課題は私個人にとっても一生ものの気が致します^^

Posted by: BUBI | 2008.08.20 01:07

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