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2007.07.18

映画「ゲド戦記」感想

 「ゲド戦記」のDVDレンタルが開始されました。
 昨年、映画館に見に行くつもりが、あまりの評判の悪さに尻込みしてしまい、やめてしまいました。

 その後、ゲド戦記の1巻を買って読み、2巻は図書館で借りて読みました。原作の感想は・・・ふむ、つまらなくはないけれど、新鮮味が薄く、なぜかどこかで同じような話を読んだことがあるような気がしました。
(2巻は、新井素子の「ラビリンス(迷宮)」を思い出しました)

 もしかするとファンタジー小説を書く人達の多くは、一度は「ゲド戦記」を読んだことがあるのかもしれません。ゲド戦記はファンタジー小説の原点で、それを元に小説家は自分の物語を紡いでる。
 何より、宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」も、「ゲド戦記」をアニメ化したかったけれど、当時はそれが叶わなかった(映像化の権利がアメリカにあったそうです)ため、監督が自分のイメージで、自分の物語を作った・・・という話を聞いたことがあります。そのため今までの宮崎駿作品には、ゲド戦記的なモチーフがあちこちで使われており・・・だから、宮崎駿監督は、自分の手で「ゲド戦記」をアニメ化しても、過去の作品の焼き直しになってしまうことが分かっていてこのオファーを断った、そうです。
 しかし、「それならば」と宮崎駿監督の息子、宮崎吾朗氏の監督で作られたのがこの「ゲド戦記」。
 ついに見てしまいました(苦笑)。

 感想は・・・思ったほど悪くなかった、です^^;
 映画公開当時、あまりにも評判が悪かったため、どんなにひどいかとある程度覚悟してたために、ショックが少なかったのかも。

 ただ、評判の悪さの理由は分かるような気がしました。少なくとも、これは「ゲド戦記」ではないですね。
 じゃ、何かというと、普通の「アニメ映画」。

 少年と少女が悪と戦う話。敵は「千と千尋の神隠し」に出てくる「顔なし」みたいな感じ。
 今までのジブリのキャラがみんな出てきて、ファンタジー活劇を展開するという、深く考えなければ、なかなか楽しめます。テーマも単純。「命を大切にしましょう」ということ。
 もし、新興の宗教団体が、何かPRのためにアニメ映画を作成したら、こんな感じになるかもしれません。

 このアニメはゲド戦記の3巻と4巻をベースにしたと言われていますが、私は原作の3巻と4巻は読んでいないので、どこまでが原作でどこまで映画オリジナルかが今一つ分かりません。主人公のアレンを追う影が本来は彼の「光」であった、という設定は、原作のものなのかしら。「光のアレン」とテナーのシーンは、ちょっと感動しました。この映画で一番「いいな」と思ったシーンでした。

 物語の始まりからアレンを支配している、彼の苦しみや悩みは、作品の中では一切語られません。私は自分でその部分を頭の中でイメージしつつ、補完しながら映画を見ました。ここの部分がうまくイメージできないと、彼に感情移入できなくて、見ているのが辛いかもしれません。
 劇場公開時の感想でもその部分に対して「納得できない」という感想が多かったです。私はそれを知っていたので、勝手に自分で想像して物語を作りながら見たので、アレンの悩みが語られないことについては、それほど不満を持ちませんでした。

 何らかの理由で、生きる意味を見いだせず、苦しんでいるアレン。
 その彼が、ゲド、テルー、テナーに助けられ、救われる。

 原作がどんな話かは分かりませんが、一本の作品としては一応できあがっていて、訳が分からないとか、見終わった後、嫌な気持ちになるとか、そういうことはありませんでした。

 もちろん、話としては非常に小さくまとまってしまっていて「世界の均衡」はどうなったんだ?みたいな部分はありますがね・・・

 でも、実のところ、私は原作のゲド戦記1巻と2巻を読んで、同じような感想を持っていました。
 それほど深淵なテーマを内包した話なんだろうか?と。(ファンの方、すみません^^;)
 1巻と2巻しか読んでないからかなぁ?

 最近大人になったからなのか、ファンタジー作品を見ても、今ひとつその中に入りきれないことがたまにあります。物語が目の前で勝手に始まって勝手に終わる。そんな感想を持つことがしばしばあります。
 この、映画の「ゲド戦記」もそんな感じ。他の作品とそう変わるわけではありません。

 しかし・・・「ナウシカ」や「ラピュタ」にはやっぱり引き込まれたんだよなぁ~。一体何が違ったんでしょうね。
 見ている自分が年食っただけ、ってわけではないと、思いたい^^;

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Comments

はじめまして!
私もジブリアニメが大好きで、「ゲド戦記」は楽しみに見ました。
率直な感想は、可もなく不可もなく・・・というところでしょうか。
確かに、物語に深みがなかったですね。
私が一番好きなジブリ作品は「もののけ姫」です。重厚な世界観がいいです。
私のブログにもレビューを書いてますので、ぜひ遊びに来てください(^o^)/

Posted by: カルパッチョ森本 | 2007.09.12 13:56

いらっしゃいませ~

「楽しみに」見て、特にがっかりはされませんでしたか?^^
それならよかったです。

私は、かなり不評なのを知っていたので、かなりその辺は割り引いて見ることができたので、それほどがっかりせずには済みました。

劇場公開時にはかなり期待していた方だったので、きっとその時にみたら、もっと酷評していたろうな。

そちらのブログにも伺わせていただきますね。

Posted by: BUBI | 2007.09.12 18:59

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