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2008.03.10

poem(70)

子供の頃 学校があまり好きではなかったので
始業式や入学式のある春の桜は
私にとって憂うつな季節の先触れだった

けれど今は少し違う

母が臥せっていたあの病室の外では
3月の長雨がしとしとと降っていた
意識がなくなった母の横で
私が小さな声で歌ったのは何の歌だったろう

そして母が亡くなったのは4月
死に目に立ち会えなかったのが幸か不幸か
それは分からない
けれど迎えた旅立ちのセレモニーの日は
桜咲く暖かい日だった

私が知る限りでも
病で床に伏せることが多かった母
そのことでずいぶん自分を責め
それでも時に冗談を言っては笑い
いっしょの少女マンガを読んで
いっしょにドラゴンクエストをプレイして
銀の鍵の在処を教え合ったりもした

4月の桜は私にとって
今は『旅立ち』の先触れ

新たなる全ての始まり

そこで見ていて
あなたの娘の一度きりの一生を
この春も

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