これっていいんだろうか?~恩田陸「チョコレートコスモス」~
以前、三原順さんのマンガ、「はみだしっ子」のセリフがそのまま使われたりして、盗作じゃないかということになり絶版になった小説がありました。(当時の記事→「はみだしっ子」が盗作された)
その他、絵画などでも、盗作疑惑って時折取りざたされますし、アイドルの詩集なども、パクリと言われて絶版になったりスキャンダルになったりしております。
恩田陸さんの「チョコレートコスモス」を読んで、
「あれ? これは許されるの?」
とちょっと不思議な感じがしてしまいました。作者も「ガラスの仮面」を意識して書いたとどこかで言っていたそうで(出典はネットを探したんですが不明)、本のどこかにそれを書いておかないと、これ、あまりにもなぁ・・・という感が否めません。
後半のオーディションシーンの「影の演技」のアイデアなどそのままだし。
なぜ登場人物が演じる公演が「真夏の夜の夢」の現代版なのか。もちろん「ガラスの仮面」そのままの設定とは違いますが、それにしたって・・・
別にいいんです。これが「ガラスの仮面」のオマージュだってどこかに明確に書いてあれば。
けど本にはどこにもそんなこと書いてない。なぜだろう? 何も書かずに「ガラスの仮面」に出てくるアイデア使って自分の小説を書いたら、それは・・・パク・・・
こうして出版されて、そこそこヒットもしているのだから「ガラスの仮面」の作者にはことわっているんだろうなぁ。
そうじゃなきゃ、これって・・・設定は違いますが、アイデアは「ガラスの仮面」のもの・・・少なくとも私にはそう読めました^^;
恩田陸さんは、「六番目の小夜子」から、けっこう好きでいろいろな作品を読んでいます。「チョコレートコスモス」も面白いと評判だったので、楽しみにして読んで実際、面白い小説でした。
「真夏の夜の夢」の話や、一度見ただけで舞台のセリフを覚えてしまう天才少女だけなら、まったく気になりませんでした。同じような設定だけど違う作品だと思えたので。
でもオーディションでの「影の演技」。
あれだけは「ガラスの仮面」が好きで何度も読んだ私には、ちょっとショックが大きかったです^^;
もしも、恩田陸さんが「ガラスの仮面」をまったく読んだことがなくて、「チョコレートコスモス」を書いたのなら、それはそれで素晴らしいのでしょうけれど・・・そうでもなさそうなのに。
本にはそのことにまったく触れられていないのがとても残念です。これっていいのかなぁ?
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「流浪の月」(ネタバレあり)(2022.08.14)
- 「悪い本」(2020.08.08)
- 「十二人の死にたい子どもたち」(ネタバレあり)(2019.11.24)
- 人間の限界~「ふわふわの泉」野尻抱介~(2017.04.16)
- 約束の地で(2016.08.18)
Comments
直近の直木賞受賞作「蜜蜂と遠雷」もコミック「ピアノの森」と設定や主人公が似ている。
恩田氏はそもそも作家のオリジナリティーを否定している人で、人の作品の構成や展開をまねるのが得意。
追求されるとオマージュだとか、パターンをもらっただけとか平気で言うので、嫌う人も多いですね。
「蜜蜂と遠雷」と「ピアノの森」を読み比べれば、どちらが上かはすぐにわかります。
Posted by: ありこ | 2017.03.13 13:19