10万アクセス記念小説 その2
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「リンゴの匂いと空の蒼」 著 BUBI
【タクSIDE】
君はきっと怒るだろうけど
僕はわくわくしてた
見るもの全て珍しいものばかりでさ
白衣をきたお医者さんはかっこよかった
看護婦さんもやさしかったよ
「お見舞いに来たんだ。えらいのね」
ってほめられて
ちょっと得意になっちゃった
だってさ
母さんには怒鳴られてばかりだし
オヤジには叱られてばっかだし
ほめられたことなんて全然ないんだよ
勉強はやる前に眠くなる
計算も漢字も苦手でさ
クラスの頭のいい女の子には
年中バカにされっぱなし
ひざすりむいても
雨の日に転んでも
服を汚したことを叱られた
今でもたまに言われるんだ
「お前は家の子じゃない」って
「橋の下で拾ってきたんだ」って
ひどいことをするとまた捨てるっていうんだ
まったくやんなっちゃうよ
君はとても大事にされてた
優しそうなお母さんがそばにいてさ
家の母さんでさえ言葉遣いが変わるんだ
学校も行かなくていいんだって言ってたしさ
休みの日に家にいると
うるさいからって外に放り出される
近くの川の土手まで行って
服のまんま土手すべり
ズボンに草の汁がべっとりついて
ついでに犬のウンコまで踏んづけて
最後に水たまりに突っ込んで
ドロドロになって帰れば
「そのまんま家に上がるんじゃない」ってさ
すっぱだかになってお風呂に直行
宿題なんかすっかり忘れて後はグッスリ
もうちょっと家にお金があれば
ゲームボーイだってプレステだって
買ってもらえるのになって思う
そうすればちょっとはおとなしく
家にいることだってできるんだよ?
君にそんな話をしたら
君はあいまいにほほえんだままだった
君がもし外に出られたら
いっしょに土手をすべりにいけるのに
いっしょに基地を作りに行けるのに
いっしょにあの川を海までたどって
冒険したりもできるのになぁ
君は頭がいいから
地図だって読めるし
困ったときには助けてくれるだろう
ドラクエの賢者みたいにさ
魔法だって使えそうだ
いつか君といっしょにいきたいな
海や山やいろんな冒険に
君が歩くのに疲れたら
車イスくらい押してあげる
君は僕たちの冒険のキャプテン
僕が転んで泥だらけになっても
君は僕をバカにしたりはしないよね
仲間じゃないなんて言わないよね
でも僕は君を泣かせてしまった
僕はどうすればよかっただろう
冒険の話なんて
君にはバカみたいに思えただろうか
「夢みたいな話ばかりするな」って
君にとっても怒られた
僕は君が好きなんだけど
やっぱりバカだからだめかなぁ・・・?
(その3へ続く)
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