杉山文野さんの講演を聴きました
性同一性障害の杉山文野さんの講演を聴く機会がありました。
杉山さんのブログ
とても楽しくて、分かりやすく、ためになる、そしていろいろ考えさせられた講演でした。
講演の冒頭がこんな話でした。みなさんもちょっと考えてみてください。
これをお読みの皆様は、生物学的にいうと、男性でも女性もある、または男性でも女性でもない人がいるのをご存じでしょうか。知り合いにそういう人がいる人、いるかな。
多分、いないだろうな・・・私もいないし、そういう人がいること自体を知りませんでした。でも知らないから「いない」わけではない。
正確な統計があるわけではないので、何万人に一人、いや何十万人、何百万人に一人いるのかどうか、それは分からないのですが、SFでもなんでもなく、そういう人は実在しています。それと同じように。
性同一性障害・・・体と心の性がなんらかのホルモンの関係で違ってしまう人も世の中にはいて。いるんだけど、多くの人がそのことを「知らない」。
特に、性同一性障害の場合、見た目が女性なら、周りの人はみんなその人を女性だと思うわけで、まさかその人が心の内で、女性である体と男性である自意識の間で苦しんでいることなんて誰にも分からないわけです。
知らないから「いない」ことにされてしまう。
そうやっていないことにされた人が、どんなにそのことで困ったり悩んだりしているか・・・。
講演のテーマは、そういう少数派(マイノリティ)の人々が生き生きと人間らしく、自分らしく生きられる世の中になるためには、まずはそういう人たちがいることを知ること、そして、ほんのちょっとの工夫で、いっしょに生きられる世の中が作れる、ということでした。
杉山さんのストレートな思いが伝わってくるすばらしい講演でした。いやぁ~、杉山文野さん、かっこよかったなぁ♪
感銘を受けて帰ってきて、その後もつらつらと講演の内容を思い返していました。
素朴にちょっと不思議な感じもします。
男性であること、女性であること。それって、それほどまでに違いがあるんですね。
私は、同じ人間なんだから生物学的に違うだけで、心の中はそんな違うはずがないと思っていました。
でも体は女性でも自意識が男性だと、やっぱりスカートははきたくないし、女性らしい体つきになるのに嫌悪感があるし、好きになるのも女性だったりする。(性志向は人それぞれなので、女性だから男性が好き、女性だから男性が好きってそこもまたそうとは限りませんけれども。)人の仕組みって不思議。
性同一性障害の場合は、ホルモン注射や手術で自意識に合った体にすることも今では可能なのですが、杉山さんは今のところ、手術はしないで、今のままの自分でがんばってみようと思われているようです。すごいなぁ~
たとえば、昔は・・・昔っていっても、そんな前でもないですが。
ある程度の年齢に達しても結婚しない男性や女性ってってマイノリティでした。きっと周りから変な目で見られたり、誤解を受けたりしたんだろうな。
でも今は私なども普段、特に不自由することなく、自分らしく生きていられます。もちろんこれは、未婚の男性や女性がマイノリティではなくなってきているからに他ならないのですが、そう考えるとやっぱり、まだ世の中って、人間個々の多様性をすっかり受け入れるところまでは来ていないのかもしれない、と思います。
杉山文野さんが、そうして大勢の人の前で、自分の歩んできた人生の中での悩みや苦しみを赤裸々に語り、堂々と自分の在り方について語ることで、もしかしたら世の中はちょっとずつ変わっていくのかも。
そう思うと、なんだか世の中も捨てたもんじゃないなぁと思ったりして。
とてもよいお話でした。興味のある方は上のリンクから、杉山文野さんのブログ、のぞいてみてくださいね。
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 一人暮らしから二人暮らしへ(2023.10.14)
- あけましておめでとうございます(2023.01.01)
- 近況(2022.12.21)
- ウクライナでの戦争が問いかけるもの(2022.08.15)
- 新型コロナウィルスの感染状況の記録58(2022.08.11)
Comments
こんばんは。
以前、性同一障害の番組を見たことがあります。
子供を持って、初めて色々な障害がある事を知りました。
そして、積極的に知る努力をしています。
子供に伝える為に。
世の中には色々な人がいる。
明らかに見た目が「男の人」なのに短いスカートをはき、赤い口紅をつけ、ヒールをはいて、長い髪をなびかせている人をショッピングセンターでみかけました。
みんなが振り返ります。
その時、一緒にいた娘も凝視でした。
で、うさこは自分の知識を娘にわかる範囲で教えました。
その方がそういう趣味の人なのか、何か理由があるのかわからないけど、人をみかけだけで判断するのは軽率だと。
みんな、どこかに「マイノリティ」を隠し持っている気がします。
うさこにもあります。
みんな違ってみんな良い。
うさこはこの言葉が大好きです♪
Posted by: うさこ | 2008.10.22 21:21
うさこさん、いらっしゃい。
杉山さんはフェンシングの元選手で、今は子供たちに、フェンシングを教えていらっしゃるそうなんですが、子供たちからは素朴に、「先生は女なの? 男なの?」
って訊かれるのですって。
そんなとき杉山さんは、確か
「うーん、その中間かな」
なんて答えるとおっしゃっていました。
そして
「そういう人もいるんだよー」
ってね。
・・・すごい・・・
彼が、性同一性障害と正面から向き合い、それを前向きに受け止めているからこそ、こんなふうに言えるんだろうなー。
尊敬してしまいます。
私が持っている「他人と自分が違う」ことに対するちっぽけな劣等感など吹き飛んでしまう。
私も杉山さんを見習わなきゃー
Posted by: BUBI | 2008.10.24 01:31