意外とよかった♪映画「愛の流刑地」
もうだいぶ前ですが、野島伸司の「世紀末の詩」というドラマを見ていた頃にこんなふうに感じたことがあります。
『もしかしたら「愛」っていうのは「生」よりもむしろ「死」に近いものではないだろうか』
こう考えたのにはもちろん前提として、「愛」というのは当然、人の命や生の源泉であり、愛があるから人は生きていかれる、という考えがあったからです。
でも野島伸司のドラマを見ていたら、もしかしたら逆じゃないだろうかと思えたんですよね。映画「愛の流刑地」をレンタルで見まして、それをあらためて思い出しました。
多分、一般的には「愛」って前向きなものだと捉えられがちだと思うんですが、そう信じていると、けっこう「あれ?」って思うことが多い。(無論、実体験に基づいております^^;)
人を愛することが人を幸せにするとは限らない。
いや「幸せ」ってのも定義がいろいろあるのですけど、少なくとも・・・映画「愛の流刑地」では、その愛の終着は「死」だった。「死」もまた本人がよければ幸せだ、という考え方もあるんですが、だからこそ「愛」は「生」よりも「死」に近いものかもしれないと思うのです。
映画「愛の流刑地」では・・・
主人公の男女(豊川悦司・寺島しのぶ)は、とても愛し合っていました。とても愛し合っているんですが、女性は男性に「自分を殺して欲しい」と懇願する。男性は女性の望みをかなえてやりたくて、SEXの最中に彼女の首を絞めて死に至らしめる。男性は自分で警察に通報し、捕まって、裁判にかけられる。その一部始終が映画となっています。
愛し合ってるなら、何も死ななくたっていいじゃないの、と単純な私は思うのですが・・・
なぜこの女性が男性に「殺して欲しい」と頼んだか、これを読んでいる皆様はこれだけ読んで分かりますか。
映画の中では、
「SEXの最中に女性が『殺して』だの『死んでもいい』だのと叫んだところでほんとに殺すヤツがどこにいる」
というふうにお話が始まり、それはほんとにそのとおりで、裁判ではなぜ彼が彼女を殺してしまったのかが焦点となっていきます。
まあ彼は、ただ彼女が望むとおりにしたかっただけなんでしょう。
ではなぜ、彼女は、最愛の人に自分を殺して欲しいと願ったのか・・・
答えはこうです。
「彼と彼女の恋愛は『不倫』だったから」
・・・『不倫』ねぇ・・・
ここ10年か20年くらいの間に『不倫』ってことの考え方自体も大きく変わってきた感じはあります。結婚した女性でも、他に好きな男性ができたり、夫との関係に限界を感じれば別れればよくなった。だから、今の世の中ではあまりこういう『不倫』自体がなくなってきつつある感じはするんですが・・・
私が思うのは、結局、人と人とが出会い愛し合うことそのものが、世に一般的に言われる「幸せ」・・・つまり、男性でも女性でも、結婚し、子供をつくり、一人の異性と添い遂げることとは、相反するものなのかなぁということです。
でも、それって・・・^^;
なぜ、愛が、人としての幸せに結びつかないのか。
私はずっとそれが疑問なのです。
誰かを好きになったり、好きな人と結ばれたりすることは「幸せ」であってよいはずで。なぜ、それが「悲劇」の方に結びついてしまうのか。たとえば「愛の流刑地」の彼女の場合であれば、夫や子供のいる家庭と、愛する男性の間に板ばさみになり、追い詰められて、ついに最愛の男性を殺人者にするという究極の選択をしてしまう。
うう・・・なんでこんなことに・・・
じゃあ、最初から彼と彼女は出会わなければ良かったのか。
出会わなければ誰も傷つけずに済んだのは確かで。
でもなぁ~~~~(悩)
「人を愛する」気持ちって大事だと思うのです。やっぱりそれがなきゃ、せっかく生まれてきた甲斐がない気がする。一方でそれが悲しみや苦しみを伴うものだとしても・・・うーむ、結局「愛」ってそういうものなのか。
・・・という「愛の流刑地」の感想でありました。
いや、この映画、巷であまりいい評判を聞かないんですよね。なのに、見てみたら意外によかったです。(「あまり面白くないかも」と思いながら見たせいもあるんでしょうが^^;)
原作は「失楽園」で有名な渡辺淳一。渡辺淳一が書く女性というのは、男性に都合よく書かれすぎという話も聞いたことがあるんですが、私は原作も何冊か読みましたがあまりいやな感じはないです。
打算もなく、ただ一途にこんなふうに女性を愛せる男性っていいなぁ~と。
ただ、考えてみたらこの映画で、男性は相手の女性のどこを好きだったんですかねぇ? それ考えたらちょっと不思議。彼は、裁判で初めて彼女の家庭のことや彼女の置かれた状況を知った。それまでは何も知らなかった。ただ彼の目の前にいて、彼を愛する彼女の姿しか知らなかった。
もしこれが「現実」だったなら彼を「ずるい」と思う女性は多いでしょうな。
でも、いいんです。
「映画」だから(苦笑)。
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