「楽するために生きてるわけじゃない」
ちょっと前に、高橋しん氏の「花と奥たん」というマンガをビックコミックスピリッツで読みました。
正体不明の「花」で壊滅した都心に仕事で通っていた夫を待つ、郊外の住宅街に住む「奥たん」を主人公にした、ほのぼのながら、とても考えさせられるマンガです。
奥たんは、未曾有の災害の中で、物資も不足して大変なんですけど、庭で野菜を作ったり、米作りにチャレンジしたりしながら、毎日おいしいごはんを作って、旦那さんが帰るのをずっと待っています。
そんな「奥たん」が、ある日、奥たんのいる町に迷い込んできた少年に標題のように言うのですよ。
少年は、
世界が終わるかもしれないのに・・・
旦那さんはもう死んでるかもしれないのに・・・
そんなふうにおいしいご飯をがんばって作ったってしょうがないのに・・・
毎日、忙しく、おいしいご飯を作る奥さんに呆れてしまうんですが。
奥たんは言う。
「楽するため生きてるんでないもの」
・・・ちょっとどきっとしてしまいましたわよ。
以前にも書きましたが、私なんて毎日楽することしか考えてないものな~
いや、なぜそれを思い出したかというと、今、乃南アサの「しゃぼん玉」という小説を読んでいるんですが、そこに出てくるおばあちゃんも、毎日忙しく働いてる。
シチュエーションがちょっと似ていて、そのおばあちゃんのところに、都会から、一人の少年が迷い込む、というのが、こちらの小説。都会といっても、なんとその少年はさいたま市在住なんですよ。(私と同じだ)
で、またこいつが、しょうがない少年でねぇ。ひったくりやかっぱらいや置き引きなどを繰り返して、ひたすら逃げて、山の中のおばあちゃんの家に転がり込むと、毎日、食べて寝るばかりの生活。
一方のおばあちゃんは、畑だ、山だ、と毎日、働いています。
うーむ・・・私は、どちらのケースでも転がり込む少年の方の立場なのですよねぇ・・・
年は奥たんよりも年上、おばあちゃんよりは年下くらいなんですがね。
楽するために働いてるんじゃないとしたら、奥たんや乃南アサの小説に出てくるおばあちゃんは、一体何のために働いているんでしょうか。
・・・まあ、言わずもがな・・・
私もなぁ。いつか、そう言えるようになるといいのに。
「楽するためにいきてるわけじゃない」
そして胸を張って「そのため」ならば、どんな苦労も厭わないような「何か」を見つけられたらなぁ。
今もまだ、そういうのが見つからない人生ってどうなんでしょ、と思うのですが、まぁ、こうやって、本やマンガを読むことを趣味としているおかげで、いろいろな生き方を、第三者として俯瞰することが出来る分・・・やっぱり私は、恵まれていて幸せなのかもしれません。
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