早くここまでおいで ~「おやすみプンプン」~
以前「プンプンママと私」という記事を書きました。
今回もビックコミックスピリッツ連載中の漫画、「おやすみプンプン」(浅野いにお)から。
主人公である高校生のプンプンは現在、クラスの女の子とデート中。プンプンはデート中、その子と、あんなことやこんなことまでする想像をしちゃっています。うん、この年頃の男の子ならこれが健全であろう。
でも、今週、デートはいきなり破綻してしまいます。
先週まではいい雰囲気だったんだけどな・・・
この世にあるフィクションで描かれる人間関係って、おおむね現実よりもうまくいくことが多いのですが、「おやすみプンプン」は人間関係の破綻を書かせたらピカイチかもしれません。
すごくリアルで怖いくらい。
元々、プンプンの家はいろんな事情でプンプンママとプンプンの関係が破綻しています。
でもその女の子はそんなことは知りません。
その日、プンプンママは病気で倒れて手術中でした。
もちろんプンプンだって最初はお見舞いにいくのですが、「あんたがきたってしょうがない」的なことを言われて、プンプンはちょっと傷ついて帰ってくるなんてこともありまして。
女の子とのデートの日がたまたまプンプンママの手術の日だったのですが、プンプンは病院へ行く気は全然なく、デートに行ったわけです。
で、そのことをふと、女の子に話しちゃった。
そしたら女の子は怒るわけです。
どうしてそういうことを早く言わないのか。
どうしてプンプンは病院へ行かないのか。
どうして自分のお母さんなのに心配しないのか・・・
第三者である私から見ると、プンプンにはプンプンの言い分があるし、事情も知らないその子に一方的に責められる筋合いはないわけで、プンプンがそこで突き放すような応え方をしてしまったのもとても分かる。
一方で、その女の子はとても普通に幸せに育った子だから、親が病気の時に平気で女の子とデートできる男の子が理解できなくても仕方がないわけで。それを踏まえてプンプンがうまく受け流せればよかったのですが・・・まあ高校生の男の子にそんな器用なことはできなくて当たり前か。
結果として、プンプンは自分の気持ちを正直に言っただけだったのですが、女の子はプンプンが理解できず、怒って帰ってしまいます。「付き合ってください」と言ったのも否定され、キスしようとしたらひっぱたかれて、ね。
人と理解しあうのって難しいな。
・・・いや。理解しあうことができなくたっていい。
ただ、相手は自分と違うんだ、という、ただそれだけをちゃんと理解できればいい。
それさえできれば、少なくともプンプンと女の子のように傷つけ合って別れずには済むのです。
そしてそこで関係を終わりにさえしなければ、この先、少しずつお互いを理解しあって、いつかこの女の子がプンプンの孤独や寂しさを分かち合ってくれるような一瞬が訪れたかもしれないのに。
自分が高校生の頃はどうだったかなぁ・・・私は、女子校だったしな。
周りにいた女の子たちとは同じような価値観を持っていたようで、互いを理解するのにそれほど苦労せずに済んだ気がします。
みんな、きっと思っていることは同じだったでしょう。他人を傷つけたり、自分が傷ついたりしたくないから、みんな優しかった。
私自身はおそらく中身はプンプンといっしょで、ほかの女の子達よりも物事をドライに考える方だったけれど、そんな自分がほかの子と違うことはよく分かっていたから、それを理解されてもされなくても、ただそこにいることを認めてくれさえすれば、十分でした。
中学や小学校の頃の方がその意味ではつらかったかも。小学生なんて、ちょっと自分と違う子がいると、他人を認めるなんてできませんしね。そして何でもみんなでやることがよしとされる。面倒ったらありゃしません。
かわいそうなプンプン。
でもこういう経験を経て、彼も大人になっていくのでしょう。
プンプン、早くここまでおいで。大人になれば世界が変わるから。
高校生か・・・今が一番悩むところかもな。
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