ワーキングプアについて考えてみた
普通の人以上に働いているのに生活が楽にならない・・・という人達が、増えているようです。
『働けけど働けど我が暮らし楽にならざり』
そういうのって高度経済成長以来、一端は無くなって、1億総中流って感じだったのはついこの間だったと思うのですが、どうもここ10年くらいなのかな。格差の問題も、非正規雇用の問題も、ワーキングプアの問題も。
こんなページを読んでみました。
http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/workingpoor3.html
他にもいくつか記事をあたってみましたが、他の記事だと就職ができない人を語る論調と同じく、ワーキングプアも本人の責任だとしている論調が見受けられます。
でもどうも実態はそうじゃないなぁ・・・
実際にがんばって働いているのに、「母子家庭だから」、「高齢者だから」、「資格がないから」、などなどの理由で労働とその対価が釣り合っていないことが多いわけで。
紹介したサイトの記述では、じゃあ資格とればいいのかと、資格をとっても10円しか上がらなかったケースなどが取り上げられています。
ふむ・・・社会の実体が変わっていっているのに、社会の仕組みがそれに追いついてない印象を受けます。
終身雇用制が崩壊し、年金制度も未納者が増えて危機的状況にあり、そもそも子供が減って人口が減り、国内需要の絶対値も減っていく。景気が悪くて企業は人件費の削減に必死。それ以前に、仕事がなくて廃業に追い込まれる中小企業も多いし、そうすれば従業員は仕事を失う。
家庭を持ち、子供を持つだけの収入が得られなければ、結婚のモチベーションを失う男性も増えるし、離婚も増える。離婚して母子家庭になったら、母親が働いて子供を育てるしかないけれど、子供のいる母親を雇って十分な賃金を出せる仕事がない。
もうすでに私が生まれる前の話になってしまいましたけど、その昔に「所得倍増計画」という政府の施策が実行された時代がありました。それこそが戦後日本を高度成長をもたらした施策でした。
(引用開始)
日米安全保障条約の締結により日本は国土の防衛をアメリカに一任できるようになり、高コストの軍事費(防衛費)を抑え経済政策に優先的に配分できるようになった。国民所得倍増計画の目的は輸出増進による外貨獲得を主要な手段として国民所得(国民総生産)を倍増させ、これによって雇用を拡大し失業問題を解決する(完全雇
用を目指す)ことで生活水準を引上げることにある。またこの過程で地域間・産業間における所得格差の是正もその目的とされている。具体的には農業近代化、中小企業の近代化、経済的な後進地域の開発(工業の分散)である。
(引用終わり)
ウィキペディア「所得倍増計画」より
つまり輸出の拡大によって、日本は立ち直ったんだな(それだけじゃないだろうけど)。
その後、中国や韓国などアジアの国が台頭してきたことで、日本だけが輸出でウハウハってわけにはいかなくなったので(当たり前だ)私らが社会に出た頃は、もうその施策の効果ってなくなっていたわけですが、その頃はバブルで未曾有の好景気でした。
あの当時はまだ「高度成長」の頃の流れを引きずっていた気がします。
・・・今でもまだ「景気さえよくなればいろんなことが全てよくなる」と思ってる人達がいる。
私にはどうもそうは思えません。企業はなるべく人件費を削って利潤を得ようとやっきになるし、その結果は株主に配当となって返り、要は金を持ってる人はますます儲けて、そうでない労働者は安くこき使われるだけならまだしも、いつ首を切られるか分からない不安定な状況で、未来に希望が持てずにひたすら働くしかないことになっちゃう。
よくないよなぁ・・・要は企業が儲けすぎたのかもな。
そういう企業に就職できた一部の人はいいけれど、世の中はそうでない人が大半で。
勝ち組、負け組とかっていう以前に、やっぱり、きちんと働く人が、普通に食べたり、普通に住んだり、普通に子供を学校に通わせて給食費くらい払ったり・・・
そんなこともできない世の中なんてどっかおかしい。
だから民主党はまず最低賃金時給1000円を目指すという公約を掲げているわけですけど。
それで、企業が今まで二人雇っていたところを一人しか雇えなくなったらどうするんだろう?
何か、もっと根本的なところに問題がある気がするなぁ。
昔の高度経済成長のように「輸出拡大」なんていう魔法はもう使えないのなら、何か新しいビジョンを打ち出せないと、このままズルズルといっちゃう気がします。
新しいビジョン・・・それを考えるのは、前も書きましたが、まさに私たちの世代の責任です。上の世代から引き継いだ豊かさをどう下の世代に引き渡すか。
私もまた考えてみます。
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