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2009.10.13

サンガルの女に生まれたい~「虚空の旅人」~

上橋菜穂子の守り人シリーズと呼ばれる一連のシリーズの小説について「精霊の守り人」を読んだ、という話をこのブログでも取り上げました。(記事はこちら
図書館での予約も順調にできたため、順々に読み進めまして、先日シリーズ第4作目「虚空の旅人」を読み終わりました。

・・・面白い! もしかするとこのシリーズで一番面白かったかもー!

どうやら私は、やはり年なんでしょうかしら、ファンタジーよりもこういう国同士の権謀渦巻く政治の駆け引き、みたいな話が楽しくてしょうがないようです。

「精霊の守り人」の感想では「主人公がおばさんなのがよかった」とか書いていますが、「虚空の旅人」での主人公は「精霊~」では小さな少年だった、王子チャグムです。すっかり青年と呼べる年になり皇太子としての風格も身についているっぽい。

そんなチャグムが異国の地、サンガルのお祝い事に招かれて国の代表として参列するわけですが、そこでその国のクーデター騒ぎに巻き込まれる。実際はクーデターっていうよりも南の大国の策略で、地方の知事(物語では「島守り」です)が踊らされている、という筋書きですが・・・

いやぁ、びっくりだな。
物語の中では、いろいろな人々の思惑が交錯しますが、それぞれがみんないろんなことを考えている。
サンガルを守る側、攻める側。そしてチャグム。争いに否応なく巻き込まれる平民の少女達。
すごい話ですよ、これは。

この本の作者の方は、もともと、こういう異文化のぶつかり合いを書きたかったそうです。この作品をターニングポイントに「守り人シリーズ」は読み切りから大河長編小説に舵をきった、とのこと。
うん、うん、そうでしょう。これで終われないよなぁ。

私もつたないながら自分でも小説を書きますが、やはり「物語ること」の何が面白いって、違う意識、違う心を持つキャラクター同士がぶつかり合い、そこから思いもかけない展開が広がっていく様だと思います。
作者さえコントロールできないくらいに、登場人物が勝手に動き出して、自らの意志で様々な他者とぶつかり合いながら自らの物語を紡いでいく。
作者はそこに舞台を提供し、彼らがその中で何を選択し、どう動くかを文章にしていけばいいわけで。
「虚空の旅人」では、チャグム達をはじめとする彼ら、彼女らの物語を作者の見事な語りで私も楽しませてもらいました。

サンガルという国のトップはやはり王であり、それを継ぐ王子がいて、国家転覆を企む島守りたちも男性ではありますが、一方で、国の根幹を支えるのは高度な教育を受けたサンガルの女性達だったりします。
 
彼女達は、各地の島守りたちと結婚し、家庭を築きながらも、サンガルという国の女として結束し、島守りたちの動向を監視しています。
今回、この物語の中で、チャグムが巻き込まれる事件に対して、未然にそれを察知し、必要な手を打ち、時に冷徹な判断を下すのも、この国の王女達だったりします。

・・・すごいなぁ~。私もサンガルに生まれたかったなぁ~。

「精霊の守り人」の主人公だった、女ながらにとっても強い女用心棒バルサは今回のお話には出てこないんですが、それ以上にサンガルの女性陣のたくましさ、したたかさ、頭の良さ、そして・・・男性達への優しさや思いやりなどには、すっかり魅了されてしまいました。

いやぁ~女性っていいですね(笑)
私も女性に生まれてよかったなぁ。私もこれからも彼女たちを見習って強くたくましく生きていくわ♪・・・え?もう十分ですか?


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