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2010.01.26

「ブラインドネス」の衝撃

「ブラインドネス」という映画を、このブログをご覧の方はご存知でしょうか。

全世界規摸で、その直前まで何ともなかった人が、突然視界が真っ白になり失明する、という病気(?)が発生します。

原因が不明なので病気なのか、集団ヒステリーなのかも分かりません。
急いで発病した人をとにかく隔離にかかるわけですが、そのうちにどうやら目の見える人は一人も・・・いや、たった一人をのぞいていなくなってしまいます。

映画の主人公はその、目が見えるたった一人の女性。
ある日、突然、夫の目が見えなくなってしまって、隔離されることになってしまったんですが、彼女は夫が心配で、自分も目が見えなくなったと嘘をついて、いっしょに隔離施設へ収容されます。

映画はその隔離施設を舞台に進行します。世界各所でものすごいパニックが起こっているだろうと思われますが、映画はそれにはあえて触れず、その隔離施設での極限状態が描かれていきます。

隔離施設は、元々精神病院だった建物で。外からの情報は遮断され、内部から外へ連絡することも許されません。食べ物は配給されるんですが、医者も看護婦もいず、中にいるのは目の見えなくなった患者だけ。もちろん掃除も誰もできないので、隔離される人が増えてくるにつれ、トイレなど目もあてられない状況になります。

たった一人、目の見える女性は、その事実を隠しつつも、その施設でなんとかみんながやっていけるように、移動用にヒモをはったりいろいろとサポートをしますが、人が増えてくると一人でどうにかできる限界を超えてしまいます。

そのうちに、施設内で派閥ができ、とある部屋の男性が、もともと盲人で目の見えない生活をするのに長けている男性を味方につけて、その施設内の一切を自分が采配する、と言い出しました。その男は自分の所属する病室だけで配給される食料を独り占めし、他の病室の人間からは金品と引き替えに食物を配る、ということをし始めました。
すごい理不尽な話ですが、理不尽を訴えても、もう法律も道徳もなくなってしまった極限状態では、誰かがそれをやりだすと誰も止められなくなっちゃうのですね・・・

主人公の所属する病室はもともと女性が多かったし、子供もいた。理不尽な要求に対し、力ずくで抵抗したらもっとひどいことになるという判断から、仕方なく、金品を差し出し、食料もらって(それもちょっとしかもらえない)を分け合ってしのぐこととなります。

ところが・・・ここからがこの記事の本題です。
もともと着の身着のままで隔離施設にやってきた人たちです。金品なんてそうあるわけでもありません。
施設を支配下に置いた男達が他の病室へ次に要求したのは「女」でした。

皆さんだったらどうしますか。
言うとおりにしなければ食料はもらえない。もう何日も食事を満足にしていなくて体力も落ちている。このままだったら本当に飢えて死んでしまうかもしれない。

最初はもちろん、要求された病室の人たちだって、そんなの冗談じゃないと思います。殺されたってそんな要求を飲めるか、と。自分の妻を差し出すようなことは絶対にできないし、してたまるもんかと思う男性たち。

でも、この映画では、9人の女性が、自ら、苦渋の決断をし、相手の要求どおりにすることを選択します。そうしなければ皆ここで飢えて死んでしまうのだから・・・

映画のこのシーンを見ていた私は、もし自分だったらどうするだろうと考えました。
本当にもうどうしようもないなら・・・うん、何も殺されるわけじゃないし、私よりも若い人も年上の人も、他の人達のために自分が犠牲になって行く決意をしているのだし。
皆辛いのは同じはず。その中で自分だけ逃げるわけにもいかない。
相手だって同じ人間だし、そんなひどいことはしないだろう。

でも、次のシーンで私はそんな自分の甘い見通しを裏切られることになりました。
もう、ひどいなんてもんじゃありません。レイプそのもの。勝ち誇った相手の男性たちはやってきた女性に陵辱の限りを尽くします。果ては、その行為の間、じっと動かない女性の一人をゾンビだとののしり、殴りつけ、殺してしまう。
何てことだ・・・これが現実なのか・・・

人間ってだめな生き物だ。
いくら生きるか死ぬかの瀬戸際だからって、自分よりも弱い人間を痛めつけて辱めてそれが当たり前だろってそりゃないでしょ><
目が見えないだけでそこまで人間の尊厳って落ちるものなのか。

これは映画の中のお話ですが・・・
人はそういう生き物としての醜悪な部分を理性で制御しながら普段は生きていて。
そういうどうしようもない部分を内に秘めながらもそれを克服することを望み、そのために平和を維持し予期せぬ災害に備えようとする。
「全世界失明」なんてのはフィクションですけど、改めて、人間が理性を保ちつつ生きられる世界がどんなに貴重なのかを思わずにはいられません。
人間は誰でも一皮むけばそういう残忍で残酷なただの動物なんだけど・・・だからってそうであっていいっていうことじゃなくて、そのダークな部分を越えて連帯したり、助け合ったりすることが絶対できるはずだと、強く思います。

全世界が失明してしまったこの映画のラストがどうなるのかはここでは書きません。もしよければレンタルで見てください、「ブラインドネス」。

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Comments

怖い映画ですね.でも見てみたい.

セックスって,本来は子孫を残すための行為であるはずなのに,自分と交尾したメスを殺すなんて芸当ができるのは,人間くらいなんじゃないでしょうか.
人間の性欲も,もっと本来の本能的なものであったら集団での強姦や,死体愛好や小児性愛なんてないだろうに・・・.
だからわたしは,人間は本来の動物的な残虐性を持っているというより,人間にしかない残虐性を持っていると思えるのです.食べるために殺すのではなく,ただ殺すなんて・・・.

>人間は誰でも一皮むけばそういう残忍で残酷なただの動物なんだけど・・・

↑ というわけで,これは,動物さんたちに失礼かもしれません.

Posted by: とと | 2010.01.27 at 22:16

ととさん、いらっしゃいませ。

人間にしかない残虐性か・・・
なるほど、確かにそうですね。SEXして自分の子供を宿すかもしれない相手を殺すなんて「自然」じゃない。
人間は頭がよくなりすぎてSEXに伴う感情が何かゆがんじゃってるのかな。
そういうふうに考えてみるのは初めてです。
インスピレーションをありがとう、ととさん。

ブラインドネス、見てみてください。
かなり胸が悪くなるようなシーンもあるんですが、私は・・・ああ、これ以上はネタばれになるのでよしますが~

Posted by: BUBI | 2010.01.27 at 23:08

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