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2010.02.12

「悼む人」

ずっと図書館に予約をしていて、やっと借りることができました、天堂荒太の「悼む人」。ベストセラーなので2010年2月現在、もう読了された方も多いと思います。

読んでみてびっくりしたことが一つ。

「これ、ほんとにそのまんま『悼む人』の話なんだ~~」

冒頭のプロローグで、まず「悼む人」がどんな者なのかが客観的な視点で書かれており、読んでいる人にも概要が分かります。
どうやら、日本中を旅しながら、亡くなられた方を「悼む」ということをしている人がいるらしい。

その人にとっては、悪人も善人も赤ちゃんも年よりも、全て同じ。
殺人だろうと事故だろうと病死だろうとそれも全て同じ。

ただ、その亡くなった人が、誰に愛され、誰を愛した人だったか、どんなことで人に感謝されたことがあったかを聞いて、その人が亡くなられた場所で地にひざをつき、その人が生きていたことを、そして亡くなったことを胸に刻む。

そんなことをして何になるのだろう?
その行為はどこへ行き着くのだろう?

知りたくて、読むのをやめられなくなっていきます。

悼む人、本人だけでなく、それをとりまく何人かの人たちを、その内面も含めて丁寧に語りながら、物語は進んでいく。
悼む人が淡々と旅を続けていくのに対し、周辺の人たちの生き様がまたとてもドラマティックで、ちゃんと、読者を満足させるエンターテイメントとして、この小説が成功しているのが嬉しい。

いい小説だなぁ・・・

最近は伊坂幸太郎の本を読むことが多かったりするものですから、物語に何か仕掛けとか寓意とか、これは何かのたとえなんじゃないかといろいろ勘ぐることも多いのですが、「悼む人」はとてもストレート。分かりやすい。

誰が読んでも、きっと「悼む人」の在り方を思い、人の生と死について考えさせられる小説なんじゃないかと思います。

・・・読書が好きで、マンガも好きで、アニメも映画も好きで、つまりいろいろな物語を読むのが好きな私ですが、時々、
「ああ、この物語に出会えてよかった」
と思う作品に出会うことがあります。
天童荒太の「悼む人」も間違いなく、私にとってそういう作品の一つとなりました。

きっともう図書館でも比較的容易に借りられるようになっているはず。私が言うまでもありませんが、興味がおありの方、ぜひご一読を。

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Comments

たしか、この本の表紙は
桂さんの彫刻でしたよねー。

話しは違いますが、
精霊の守り人はNHKハイビジョンで放映中です^^

Posted by: ゆう | 2010.02.12 at 19:53

ゆうさん、いらっしゃい。

そうですね、表紙は船越桂さんという方の彫刻ですね。あとがきによれば、その彫刻の写真を作者が自分で撮って、それを机において、この小説を書いたそうです。

精霊の守人は10話まで、ネットの有料動画チャンネルで見ました。
原作と違っているところもあって、とても楽しめました。続きもまたそのうちに見たいと思ってます。

Posted by: BUBI | 2010.02.14 at 15:57

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