poem(90)
「風邪」
急にのどがひりひりしだして
息をする度つらくなってきて
鼻水も出だして
「ああ風邪だなぁ」と思う
ネットで何が効くか調べたり
薬屋で葛根湯のドリンクを買ったり
家では熱を測ってみたり
温かくして早く寝てみたりするのだ
風邪の原因はウィルスなんだってね
でも何のウィルスかなんて別に誰も調べない
ウィルスを退治する薬もない
とりあえず鼻水などの症状を楽にして
体がウィルスへ対応するのを待つしかない
多くの人がさんざん通る同じ道を私も辿る
タオルケットにくるまって
自分の体ががんばってくれるのをひたすら待つ
早くよくならないかと祈りつつ
遊びも仕事もあらゆる予定をキャンセルして
じっと
ひとりだと
自分に対して虚勢をはっても意味ないから
だめなときはとことんだめな自分を
なす術もなく眺めるだけだ
こんな体験 もう何度もしてきて
慣れてるんだけど
こんな辛い思いをしながら
なぜここに生きているのか
もうろうとした意識の中で考えるんだ
そこでおそらく私は
本当に一度死ぬんだろう
…そうしてある日 目覚めると楽になっている
明るい朝の日差しの中を
また歩き出す
暗い部屋の中で
自分に問いかけた問いの答えは
「生きていれば
またきみに会える日もくる」
幸せだったり
嬉しかったりした日があった
これから先も何度でも
奇跡は起こるだろう
死んで生まれて
生まれてはまた死に
人は一生の内にも
それを何度も繰り返す
治るのが分かっているなら
風邪をひくのも再生の証だ
いつか本当の終わりの日にも
そう思えるといいね
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