図書館は悪なのだろうか?
図書館貸し出し猶予を…小説家が巻末にお願い
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20110225-OYT1T00650.htm
本日の読売新聞のこの記事。図書館を愛する私にとっては、ものすごくショックな記事でした。
みなさんはどう思われるでしょうか?
いえ、見出しはまだ穏やかな表現なんですけど、記事中に書かれた作者の言葉はかなりきついものです。
引用しますね。
「このままでは、皆が卵(本)をただでもらううち、鶏(著者)はやせ細り、死んでしまう」
さしずめ、本は自分では買わない、いつも図書館で借りる私は、卵泥棒といったところでしょう。
私は子供のころから本が大好きで、近所の図書館には通い詰めていました。今まで図書館で借りてたくさんの本を読みました。
図書館に育てられた・・・図書館は私の親、いっても過言ではありますまい。
大人になってからも一人暮らしの狭い部屋、読みたい本を買っていたらあっという間に部屋は本でいっぱいになってしまう。なので、できるだけ本は図書館で借りるようにしています。
最近、さいたま市の図書館はインターネットで本を予約できるようになりましたし、さいたま市中の図書館の本が利用できるようになったこともあり、面白そうな本をネットで探しては、それを予約したりしています。
天童荒太の「悼む人」など、予約したときは1000人待ちくらいでしたが、1年以上も待ってやっと読めたときはうれしかったなぁ。
で。私はそういう自分の行為を恥じたことはありません。
待つことはやぶさかではない。
早く読みたければ本屋で買えばいいけど、「待つ」という負担を負って、1年先に読むのだから、ただのりとはわけが違うと思っていました。
でも作者の人は、こういう読者を「泥棒」だと思っているの?
・・・ちょっと違う話ですが、以前に「黒執事」というコミックの作者が、ネット上で違法に動画配信される自分のコミックを原作としたアニメについて、そういう動画を喜んでみる視聴者は泥棒であり犯罪者だ、というような批判をしたことがありました。
違法な動画配信は当然、許されないし、それを見る行為を堂々と喧伝してまわる輩は馬鹿者です。
しかし、一方で一部では、友人から録画したものを借りてみる行為なども批判されていて、私はそのあたりは微妙だなぁと思いました。
黒執事は深夜のアニメだったので、おそらく見たくてもみられない人も多く。
私は録画して見ていましたし、その録画を何度も自分で再生しました。。
おそらくアニメの制作者は本当はその作品が大好きならばDVDを買ってほしいのだと思います。
でも私はDVDはまったく買う気はありませんでした。
それもただのり?
もう一つ。
私は中島みゆきさんの音楽のファンでしてここ最近のアルバムは自分で購入しています。
しかし、古い時代のCDはもっていません。ほとんどレンタルで借りて聞きました。
夜会のDVDは一本だけ持っていますが、全巻そろえるほどお金も場所もないので、レンタルで借りたり、友人に借りたりしています。
でも・・・CDをレンタルしたり、DVDを借りて見たりすることは作者への冒涜なの?
ここに挙げた3つの例はそれぞれたぶん違う論点をもつものだと思うので、いったん図書館に戻りましょう。
「図書館が本を無料で貸し出す行為が作者の利益を阻害している。」
これをどう思いますか? 皆様。
私は「悼む人」を図書館で借りて読みました。感動しました。でもたぶん、自分で買うのなら・・・・買わなかったし、読まなかっただろうと思います。
私はずっと図書館の本というのは、本屋に並ぶだけでは、手にとることもない人たちに名作を手にとらせる機会を与える存在だと思ってきました。
私が作者だったら、無料でも自分の本がたくさんの人たちに読んでもらえることがうれしいとも思います。
でも、作者はプロなのだから。自分の作品を提供するにあたっては正当な対価を要求する。
これも言われてみれば実はもっともな話。
記事によると作者は自分の本に44人もの予約が入っていることを見て、貸し出し猶予を訴えることにしたのだとか。
44人ねぇ。その人たちがそしたら自分の本を買ってくれると思っているのかしら?
端的に言えば、私は貸し出し猶予はしてもかまわないかと思います。しかし、それが作者の利益につながるとはあまり思えない。逆にいえば図書館の行為が作者の利益を阻害しているとも思えない。
図書館に新作やベストセラーが並ばなくなれば、私はそういうものは読まないだけです。仕方ないです。ないんだもの。だからって、本屋で買おうとは思わない。
図書館にあれば読みたいと思う。それが泥棒なの?
私はもちろん優れた作品を生み出す作者を尊敬しています。
でも、俺が作った作品で楽しむなら対価を払え、と言われると・・・いやもちろんみゆきさんのCDは買いますよ。
本当に欲しければ買いますが。
まあ、図書館は、確かに少し自重すべきかもしれませんね。
新しい本をじゃんじゃん購入して、予算を使い、利用者を増やすことだけが善っていう考え方そのものが、いかにもお役人的という感じがします。
何のための図書館なのか、もう一度、しっかり、考えるべきなのかもしれません。
子供がどっさり絵本を借りていくならまだしも・・・ああ、でも年金暮らしのおじいちゃんに流行のベストセラーを読ませてあげたい気もするし・・・微妙ーーーーーー!!!
こういう話はいろんな論点があってしかるべきだと思います。
作者が一石を投じた行為が、いろいろな議論の始まりになればいいのかもしれませんね。
でも私はこの作者、あまり知らないし、たぶん買って読まないだろうと思います。図書館にあれば・・・読んじゃうかもなぁ(こらこら)。
Recent Comments