poem(93)
「カメ」
子供の頃から健康だけが取り柄
女性らしいおしゃれや華やかさとは無縁で
その代わりといってはなんだけど
真面目で堅物なことには自信あり
翼はあっても飛ぶことはせずに
地面を地味にとぼとぼ歩く
だからいつも空を飛べる人に憧れた
飛ぶ勇気を持たない自分を
危険ばかりを並べたて
言い訳という理屈で守ってばかり
だから何も起こらない人生
これでいいのかな?
…でもね
飛ぶ前に風向きを読んだり
高さがどれくらいあるのかを考えたり
着地点を想像したりすること
それが足かせにもなるのだけど
「想像力」が私の翼
だからこそここまで歩いてこれたんだ
昔からのたとえをするならば
私はやっぱりウサギじゃなくてカメ
カメも歩き続けてやっと山の中腹
そりゃ空から見るよりは見劣りするんだろうけど
けっこうここからの景色もきれいだよ
いつか山のてっぺんに着いたら
そこでまたきみと会おう
空から見た景色がどんなに素敵か聞かせてよ
きみが力尽きて羽を休めるまでには
あの頂きでちゃんと待っているから
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