「魔法少女まどか☆マギカ」というアニメが映画化され、先週末に前編、今週末に後編が公開されています。
私はこの作品を全然、知らなかったんですが、最初はテレビで紹介されているのを見て、ちょっと興味を持っていました。公開されてからは、ファンの評価も高く「それならはずれはなさそう」と思って先週、前編を見に行ってみました。
…結論からいうと、評判どおり。
びっくりしてしまいました。まさかこんな怖い映画だったなんて。
もともと私はホラー好きなのでツボではありましたが、今までアニメを見てきてこんなに恐怖を感じた作品はありません。
「ひぐらしがなく頃に」というその方面では有名なめっちゃ怖いアニメ作品があるのですが、私にとってはそれ以上。
Yahooのレビューには「最恐ホラー」なんてタイトルをつけて紹介したんですが…
よくよく考えてみると、この作品を見て何がそんなに怖かったか考えてみると「もしかしたら」と思い当たる個人的な理由がいくつか。
このブログではそのことを書いてみたいと思います。
※一部ネタバレもありますので、この先を読む方はご注意ください。
このアニメの主人公は「まどか」という少女です。
ごく普通の…いや普通よりもちょっと、もしかしするとトロい女の子かも。
普通の「魔法少女」ものだと、第一話で、主人公の女の子が魔法の力を与える使者に選ばれ、魔法の力を付与されて正義の味方のヒロインに華麗に変身し、そこから敵とその子が戦っていくのが王道のパターン。
おそらく、見ている人の頭にそれが刷り込まれていることを前提に「まどか☆マギカ」はそれを見事に裏切ってみせます。
まどかはなかなか魔法少女になりません。
本人はなる気満々ですし、魔法をもたらす使者も、まどかにはものすごい素質があって、素晴らしい魔法少女になれると太鼓判を押します。
しかも魔法少女になると、なんでも一つだけ願いをかなえることができます。どんな不可能と思えることも一つだけ。
その代りに魔法少女になったら、毎晩、魔女の気配がないか町をパトロールし、魔女の気配を見つけたら魔法の力を使って戦わなければいけません。
まどかには特段かなえたい願い事はないんですけど…
私には彼女が魔法少女になりたい、という気持ちがとてもよく分かるような気がしました。
私もまどかと同じなので。
人の役に立ちたい。
こんなちっぽけで、人より秀でたものが何かあるわけでもない自分。
でも魔法少女になればみんなを魔女から守ることができる。
私の力がみんなの役に立てる。
それも魔法少女になったら、まどかは最強だ、なんてお墨付きまであるわけですよ。現実世界で、ぱっとしなければしないほど、なりたいじゃないですか、正義の味方♪
私はまどかよりもより一層に、人よりも自分がとろくて、ぱっとしないので(笑)、こんな誘惑を受けたらほいほい乗ってしまうでしょう。
たとえ、それと引き換えに、人間としての全ての幸福を犠牲にするのだと…分かっていたとしても。
案外、私だったら人でないものになったとしても、嬉々として魔女退治にいそしむイレギュラーになったかもなぁ。
それほどに、人間ってもろくて弱い生き物です。
何が本当によいことで、かけがえのないものかも分かっていないのに、分かっていないこと自体に気が付かずに、大切なものを簡単に手放してしまう。
自分もそういう過ちを犯してしまうに違いないという恐怖で、映画を見ていて足が震えました。
分かりますでしょうか?
この映画の中で「魔法少女」になるということはそういうことなんです。
真相が明らかにされるにつれ、「魔法少女」というかわいいフレーズ自体が罠であることに気付かされる。
まどかは弱くて愚かな普通の女の子で、何度も「魔法少女になる」という選択をしそうになりますが、そのたびにそれを阻止する少女がいます。
正義の味方の邪魔をしているわけで、王道の魔法少女ものなら敵役にあたるんですが、彼女が何のために何をしようとしているのかはだんだん分かってきます。
まどかがかけがえのないものを手放してしまいそうになるたびに、それを阻止しているのが彼女。
「魔法少女になる」という選択が果たして善なのか、悪なのかはまだ前編だけでは分かりません。
でもほぼ間違いなく「魔法少女になって世界を救おう」なんて話には裏があり、その裏に気が付かないうちに、多くの少女が戦いに引き摺りこまれていることは確かで。
少女達の純粋さにつけこんだ恐ろしい仕掛け、巧妙な罠。
本当に戦わなくてはいけないものは何だったのか。
後編ではそれが明らかになるのでしょう。
映画を見ていて、いつの間にかこう問いかけられている気がしてきます。
他人のために自らを犠牲にする行為は正しいことなのか?
もちろん、昔は…ポセイドンアドベンチャーなんていう映画がありまして、沈みかけた船の中で周りの人を助けるために勇気ある行動をした人が一人、また一人と死んで行ってしまう。
その自己犠牲の尊い勇気に多くの人が感動した映画でした。
でも「まどか☆マギカ」では。
自己犠牲は悲劇でしかないことを繰り返し、見ている私たちの目の前に提示します。
まどかが魔法少女になろうとすることを必死で止める少女の悲痛な叫び。
なぜもっと自分を大事にしないのか、と。
あなたが自分を犠牲にしたら、あなたを愛している誰かがどんなに悲しい思いをするのか分かっているのか、と。
うん…まさしくそこにこの作品のテーマがあるのかもしれません。
(前編だけしかまだ見ていないからはずしていたらすみません)
私もそうなんですが、世の中のけっこう多くの人たちがそのことに気が付いていない。
自分の満足のためだけに、大切なものを犠牲にしてしまう。
まどかはそれに気づけるのかな。
それとも気づいてもなお、魔法少女になる道を選ぶのだろうか?
後編、楽しみです。
今日、実は映画館に行ったのですが満席で見られなかったのですよ~!!
すごい人気ですね。
明日は無理ですが、来週なら、見に行けるかな~。
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