« October 2012 | Main | December 2012 »

November 2012

2012.11.26

ダブル・バインド

読売新聞の「発言小町」という相談サイトで、このような相談と回答が出ていました。

「一人でいることを異様に嫌がる彼氏」
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2012/1116/554594.htm?g=04

この中にちょっと気になるフレーズが。
「ダブル・バインド(二重拘束)」
これってどういうことかと気になったので、ちょっと調べてみました。

ダブル・バインドとはある人が発する言語と非言語のメッセージが異なるために、その両方のメッセージを受けた人が、身動きがとれなくなる状態を言うようです。

たとえば親が子供に「おいで」と言い、実際に子供が寄ってくると突きとばす、とか。
子供はどうしたらいいのか分からなくなります。

「共依存」という関係においてこのダブル・バインドの状況がしばしば現れると言われます。
たとえばアルコール依存の場合だと、「酒をやめろ」と言いながら、非言語では「お酒をやめないでずっとダメな人間でいて欲しい、私に頼って欲しい」というメッセージを出している人がそばにいるため、アルコール依存者は身動きがとれなくなり、その人にコントロールされてしまう。依存症からなかなか抜け出すことができない。

親子関係で言えば、子供に「自立して欲しい」「しっかりして欲しい」と口では言いながら、本当はいつまでも子供には子供のままでいてもらって自分を頼って欲しい母親とかね。

「ダブル・バインド」
 ふと思いました。
 これって、原子力事故の被災者、とりわけ、今現在も故郷を離れ、別の地域に避難せざるを得ない状況に置かれている方々もそうじゃないかと。

 言語メッセージとしては、周囲は「被災地の復興」を言います。
「復興のために計画を作れ」、「復興交付金も出すんだからそれで何かやれ」
 でも…
 非言語メッセージでは「帰るな」と言っているように思えます。

 というか、DV(家庭内暴力)で現れるダブル・バインドの例なんかでも暴力を振るう方は「**してはいけない」とは絶対言いません。あたかも相手の身になって「あなたのため」を口では繰り返しながら被害者をがんじがらめに支配していく。

「○○ちゃんがしたいようにしていいのよ。でもそのためには勉強していい大学に入らないとね。遊んでたらそうはなれないのよ」
 みたいな。
これからどうすればいいのか、いくら尋ねても「地元市町村と住民の意見を尊重する」としか言わないどこぞの国とどうもだぶってなりません。

本音は、すでに放射能に汚染されたところは、外の被災地の除染の廃棄物を受け入れる最終処分場にしてしまえばいい、と言われているような気さえしてきます。
復興を口で言っておいて「本当に危険ではないのか」を質問すれば国は黙ってしまう。

だから、避難者は動けなくなる。

誰も答えを言わない。
「帰る場合は自己責任。国は責任はとれません」
それじゃ身動きとれなくなるの当たり前ですよね…

「ダブル・バインド」から逃れるためには、相手との関係を断たねばなりません。

子供は母親と。妻は夫と(もちろん逆もあるでしょう)。
被災者の場合は…

ダブル・バインドを仕掛けてくる相手は無自覚かもしくは相手のためを思って自分はそうしていると思っている場合も多いです。
だからこの場合もどっちが悪いという話ではなく。

互いの「関係」を改善しなければならない。
そう思います。

政治家は分かっているのかな。
自分達のやっていることが、被災者を動けなくしていること。
もし「確信犯」だとしたら…いやいや、さすがにそこまでは考えたくありません。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

2012.11.25

アルテピアッツア再び-2012.11北海道-

Dsc00484北海道・美唄にあるアルテピアッツアへ今年4月末に行きましたが、まだ雪が深く、行きつけないところがあったため、またいつか訪れたいと思っていました。
 本当は夏に行きたかったんですが、都合がつかなかったため、11月に。ちょうど友達が北海道に旅行すると言っていたので、それに便乗させてもらいました。

 晩秋のアルテピアッツア。ぎりぎり雪が降る前に間に合いました。
 
 4月に、雪で埋まっていた場所にもしっかり行けましたし、山の上の方も通ってくることができました。これでめでたくコンプリートです~♪

 アルテピアッツアではちょうど「福亀に願いをかける展」というのをやっておりまして。その写真が下の写真です。ふふ、亀に乗った福亀が作品と向かい合って、なんとも言えない面白い雰囲気ですよね。
Dsc00474

 福亀っていうのは美唄で作られる、豊穣を祈って、稲穂で作った亀のこと。
 会場では、福亀に願い事をこめて花紙を飾らせてもらいました。

 私の願い事はもちろん…
「双葉の人たちが1日でも早くふるさとに帰れますように」
 この下の写真は花紙を飾った福亀です。
Dsc00475


 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2012.11.19

電力は足りているか?

私は自分のことを常々、一般大衆に一番近い人間だと思っています。
くだけた言い方をすると「ミーハー」です。
これってある意味プラスに働くこともあって、たとえば私が「次はこれがヒットするかもな」と思うコミックは、たいていヒットして、ドラマ化したり、アニメになったりします。

で、この、一般大衆代表としては、今回の選挙にあたって脱原発は大事なキーワードで脱原発って言えない人にはあまり投票したくないなぁと思ってしまいます。
という話をツイッターなどに書くと「脱原発は理想論だ」と言われたりもするんですが・・・

果たして原子力発電所のほとんどが止まっている今、電力は足りないのでしょうか?
それとも足りているのでしょうか?

ネットで意見を拾ってみると両論あり、何が真実なのかの見極めが非常に難しいです。
今、現在、私個人にはあまり電力が足りない実感はありません。
計画停電もないし、駅のエスカレーターは動いている。
それが「一般大衆」の感覚。

私が原子力発電はもうやめたほうがいいと思う理由は、やはり事故があったからです。
一度事故を起こせば取り返しのつかない被害をもたらす。
これは人間が扱ってはならない技術だったんじゃないかって。
使用済みの燃料の保管だっていくらプルサーマルだ、再利用だと言ったって結局明快な答えにはなっていない。問題を先送りして、その場しのぎで、取り返しのつかない負債を未来に残す恐怖を感じます。
いくら地下に深く埋めたって「想定外」の地震が何百年後かに起これば、放射性物質で周辺が汚染されることだってないとは言えない。
人は、そんな自分の寿命より長い期間処理に必要なものを、自分の寿命の間のエネルギー確保のために使ってはダメなんじゃないかなぁ。
原子力というものを人類が活用し出してからたかだかうん十年。この時代だけを「暗黒時代」として、もうこの技術は封印しようよ、と率直に思うんですよね。

でも理想論だと言われる。
電気は足りないんだと言われる。
原子力がなければ日本はだめになると言われる。
そうなの?

なんというか…ネットを見ていると
「電力は足りている」側に言わせると「電力が足りないというのは原発推進派の陰謀」で、
「電力は足りない」側に言わせると「電力が足りているというのは現状認識が甘い阿呆」ということになっていて、真実がどっちなのか全く分からない(-_-;)

私はノンポリシーなのでフラットに現状を眺めると。
おそらく当面は電力は足りています。
ただ、いくつか問題はあって。

・石油や天然ガスなど、火力発電に使う燃料がどれだけ保つのか。値段が上がったらどうするか
・その結果、電気料金も上がる
・古い低効率の火力発電所をフル稼働させてなんとか保たせているので、その設備をリニューアルしなければいけないという問題
・CO2が増える
・太陽光や風力などの自然エネルギーはとりあえず安定供給の代替には成り得ない
・地熱や核融合もまだまだ
・もし停電になったら赤ちゃんや年寄りなど弱者に犠牲が出る

ただ、これが「だから原子力発電を続けないとだめだ」ということにはならないと私は思っています。

当面、火力、水力などでなんとかやっていき、古い火力発電所も順次新しくしてがんばっていく。
太陽光や風力がなかなかむずかしいのは分かってますが、それらも取り入れていく。
地熱も研究する。
核融合もとりあえず技術開発を待つ。

迂遠と言われようとも、あきらめずにやってかねば。

役人や官僚の人たちは最初に答えありき。
おそらく足りる計画も足りない計画も作れる。
だから、反原発、原発推進、どっちが政権をとってもそれに合うような計画を作ってくる。

決めるのは国民。そして次の選挙。

脱原発と原発推進、クイズではないので、おそらくどちらが正解ってないのでしょう。
脱原発で原子力発電のリスクは回避できても、常にエネルギー危機のリスクはつきまとう。
原子力発電に変わる発電技術は早々には現れないでしょう。その意味では非常に困難な選択です。

でも「困難を理由に義務を怠ってはならない」。

安倍さんが総理大臣をやめたのはやる気がなくなったからではなく病が理由だったらしいと知ってから、安倍さんにもう一度政権を担当して欲しい気もしているのですが、やっぱり原発推進がネックなんですよね・・・
今すぐとは言わなくても「○○年までに脱原発を目指す」くらいは言えないものかなぁ。

はっきり言ってもう東電に利権もくそもないと思うのですよ。
東京電力はとてつもない負債を背負ってしまっています。
安倍さんくらいになったらもう怖いもんなんてないでしょ。
今、脱原発を言えなかったら選挙に勝てないのは分かってるはずなのに。

どうしても原発が必要なら、ちゃんと我々=一般大衆を説得して欲しい。

選挙までにNHKスペシャル、もしくは朝まで生テレビでこれ、やってくれないかなぁ。

| | Comments (6) | TrackBack (0)

2012.11.14

もしもタイムマシンがあったら

 …この感覚は「アレ」に似ているなって、思い出したことがあります。

 少し前のことなんですが、仕事中におなかが痛くなって、トイレにとりあえず駆け込んだことがありました。
 そのまま、私、トイレから出られなくなってしまって。

 トイレの中でへたったまま、気を失ってしまうかと思いました。それくらい、痛かった。
 みっともない話ですが、パンツも下げたまま、全然動けないのですよ。
 このまま死んでしまったら大変だなぁ・・・なんて遠い意識の中で思いました。

 薄れそうな意識の中で、個室の外に人の気配がたまにします。
 でも、その状態で助けを・・・呼びたいような呼びたくないような・・・

 救急車で運ばれていく自分の姿を想像しました。
 自分がどうなってしまうのか、分からなかった。

 痛みの中で、そういうとりとめのない想念が行き来していく時間が一時間ほど。
 なんとか動けるまでになって、とりあえずトイレから出て、そのあと保健室にいって休ませてもらい、落ち着いた後は、家に帰りました。
 ま、結果、病院へいく必要もなく、休んだら治ったんですけども。

 そのときに思ったんです。
 どんなに苦しくてもつらくても死にそうでも。
 その痛みは、自分しか分からなくて、他人は一切そんなこと関知しないんだってこと。
 「痛み」ってのは自分しか分からない。

 逆にいうと隣に死にそうな人がいても、その痛みを共有することって人はできない生き物なんですわ。

 分からなくて当たり前。一人で痛みに耐えなければならない側にとってはどんなに酷であっても。

 
 先日、会った人がこう言いました。

「え? 双葉町ってまだ(自分の町へ)帰れないの? そんなところがまだあるんだ」

 福島第一原発の事故により、周辺の地域は放射性物質によって汚染され、国の指定する「警戒区域」になりました。
 福島第一原発では、今も日々、事故の後処理のため、多くの人が放射線量の高いところで必死に働いています。 

 そして、福島県双葉町に住んでいた人たちは、今も自分の家には帰れない。
 仮設の住宅に住んでいる方もいれば、家族バラバラに県外に避難している人もいます。
 いつ帰れるのかも全く目途が立っていません。

「そんなところがまだあるんだ?」

 あるんですよ・・・ 
 そして今も失った家、失った故郷、失った仕事、失った穏やかな生活・・・それを前にして途方に暮れている。

 あの事故から1年と8か月。
 もちろん、地震と津波の被害の大きかった東北だって歯を食いしばるようにして復興にがんばっている。
 でも原発事故による放射線の影響によって、復興のための一歩も踏み出せない地域がある。

 すぐそばに、痛くて苦しくてのたうちまわっている人がいても、その痛みは他の人には関知できない。
 それは仕方ないことなんですが・・・

 逆説的に言えば。
 もしかしたら、その痛みから立ち直るためには、結局自分がなんとかするしかなくて。
 いくら人に訴えても
「まだ帰れてないの?」
 と言われるくらいでショックを受けててはいけないのかも。

 でも、今は。
 少しでも多くの人に、知っててほしい、忘れてほしくない、と思ってしまいます。

 すぐ近くにそうして今も苦しんでいる人たちがいること。
 帰れないふるさとを思って涙を流している人たちがいること。

 ・・・
 ・・・
 もしもタイムマシンがあったら、あの事故の何年前に戻れば、あの事故を防げるんだろう?
 津波が来ることが避けられないとしたら、原子力発電所をとりあえず停止させておかなくちゃ。
 でも、私のいうことなんか誰も聞いてくれないだろうし・・・

 もしも。
 もしも・・・
 この記事を読んでくれた方がいらっしゃったら、ぜひ想像してみてください。
 もしいいアイデアがあったら教えてください。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2012.11.03

男女逆転「大奥」に泣かされてしまった(TT)

 もともと、堺雅人ファンというのもありまして。

 「リーガル・ハイ」のような役を演じる堺雅人さんももちろん好きなんですが、やっぱり堺雅人さんを最初に認知したのが、NHKの「篤姫」の時だったので、侍姿の堺雅人さんはもう刷り込まれてしまっています。「大奥」に出演されている堺雅人さんはホント、はまり役です。

 実は、最近はリアルタイムでドラマを見ることができなくて、1週間遅れでネットで配信されるTBSデマンドで「大奥」を見ていました。

 なので、昨日ではなく、先週、放映された大奥と、やっとこさ自分で録画した今週分の大奥を一度に今日、観ました。

 で、泣かされた~~!!
 最大の山は先週のラストでしょう。

 将軍の落とし種だったばかりに、ある日、いきなりさらわれて大奥に閉じ込められ、普通の生活をいっさい奪われて、ひたすらに世継ぎを産むことだけを強いられる「上様」。先週はその回想シーンがあったのですが、これはまた、なんと痛ましい・・・

 堺雅人が演じる有功(ありこと)は、自らもひどい犠牲を強いられて、無理やり大奥へ連れてこられて、絶望の毎日を送っていたんですが、この日、初めて、自分が仕える人が抱く大きな心の傷と痛ましい生涯に気づく。

 そして有功がとった行動は・・・というのが先週、第3話のラストでした。

 これ、原作がすごいのでしょうかね。それともドラマがうまいのか。
 多部未華子が将軍役を演じているのですが、それがまたぴったりで。

 3話のラスト、有功こと堺雅人さんの、静かな独白(モノローグ)が心に浸みてきます。

「私の救わなければならないお方は、ずっと目の前におられた・・・」

 これねぇ。思えばセリフ自体は、普通のセリフなんです。
 だけど、世継ぎを産むためだけに将軍として大奥に閉じ込められている女性の衝撃の半生を見せられた後に、堺雅人さんの声でこれを言われると、うわぁぁ~ん!ってなっちゃう。

 ・・・
 ・・・
 こういういいドラマを見るとつくづく思います。
 「人の心を動かす」っていうことがどういうことなのか。
 「説得力」というのはどこから生まれるのか。

 泣けるストーリーを思い描くことなんて、実はものすごく簡単です。
 たとえば人が一人死んだり(不謹慎ですが刑事物なんて毎回殺人事件が起きています)、男女が出会って恋に落ちたり、貧しい女の子が努力して努力してやっと夢を叶えたり、ね。

 でも、それをどう表現するか。どう伝えるか。
 何が人を感動させるのか。

 それを本当に分っている人って、実はそう多くない気がするのですよ。

 「大奥」はいいですね・・・。毎回泣かされる。分ってても泣かされる。
 
 昨日放映の第4話も見ましたが、この回もラストで泣けました。伊勢物語の伏線がまた、なんとも効いています。

 幸せになってほしいんだよなぁ~~どうなんだろう、無理なんだろうか^^;;;;;

 映画の「大奥」、いえ、堺雅人が主演する12月公開のじゃなくて二宮くんが演じた方ですが、これは・・・ネタバレで申し訳ありませんがHAPPYENDだったんですよ。「あり得ない」かもしれませんが、そうじゃなきゃ救われなかったので、私としてはうれしかった。

 今回のドラマもなんとかならないものかなぁ。常識的に考えて、有功とちえちゃん(上様の、昔の名前です)が手を取り合って駆け落ち、なんてまずあり得ないのでしょうけど、なんとかそうならないかなぁ~~。

 悲恋なんて現実だけで十分やね(爆)。フィクションの世界の恋はせめて幸せなエンディングを迎えてほしいものですわ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« October 2012 | Main | December 2012 »