ダブル・バインド
読売新聞の「発言小町」という相談サイトで、このような相談と回答が出ていました。
「一人でいることを異様に嫌がる彼氏」
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2012/1116/554594.htm?g=04
この中にちょっと気になるフレーズが。
「ダブル・バインド(二重拘束)」
これってどういうことかと気になったので、ちょっと調べてみました。
ダブル・バインドとはある人が発する言語と非言語のメッセージが異なるために、その両方のメッセージを受けた人が、身動きがとれなくなる状態を言うようです。
たとえば親が子供に「おいで」と言い、実際に子供が寄ってくると突きとばす、とか。
子供はどうしたらいいのか分からなくなります。
「共依存」という関係においてこのダブル・バインドの状況がしばしば現れると言われます。
たとえばアルコール依存の場合だと、「酒をやめろ」と言いながら、非言語では「お酒をやめないでずっとダメな人間でいて欲しい、私に頼って欲しい」というメッセージを出している人がそばにいるため、アルコール依存者は身動きがとれなくなり、その人にコントロールされてしまう。依存症からなかなか抜け出すことができない。
親子関係で言えば、子供に「自立して欲しい」「しっかりして欲しい」と口では言いながら、本当はいつまでも子供には子供のままでいてもらって自分を頼って欲しい母親とかね。
「ダブル・バインド」
ふと思いました。
これって、原子力事故の被災者、とりわけ、今現在も故郷を離れ、別の地域に避難せざるを得ない状況に置かれている方々もそうじゃないかと。
言語メッセージとしては、周囲は「被災地の復興」を言います。
「復興のために計画を作れ」、「復興交付金も出すんだからそれで何かやれ」
でも…
非言語メッセージでは「帰るな」と言っているように思えます。
というか、DV(家庭内暴力)で現れるダブル・バインドの例なんかでも暴力を振るう方は「**してはいけない」とは絶対言いません。あたかも相手の身になって「あなたのため」を口では繰り返しながら被害者をがんじがらめに支配していく。
「○○ちゃんがしたいようにしていいのよ。でもそのためには勉強していい大学に入らないとね。遊んでたらそうはなれないのよ」
みたいな。
これからどうすればいいのか、いくら尋ねても「地元市町村と住民の意見を尊重する」としか言わないどこぞの国とどうもだぶってなりません。
本音は、すでに放射能に汚染されたところは、外の被災地の除染の廃棄物を受け入れる最終処分場にしてしまえばいい、と言われているような気さえしてきます。
復興を口で言っておいて「本当に危険ではないのか」を質問すれば国は黙ってしまう。
だから、避難者は動けなくなる。
誰も答えを言わない。
「帰る場合は自己責任。国は責任はとれません」
それじゃ身動きとれなくなるの当たり前ですよね…
「ダブル・バインド」から逃れるためには、相手との関係を断たねばなりません。
子供は母親と。妻は夫と(もちろん逆もあるでしょう)。
被災者の場合は…
ダブル・バインドを仕掛けてくる相手は無自覚かもしくは相手のためを思って自分はそうしていると思っている場合も多いです。
だからこの場合もどっちが悪いという話ではなく。
互いの「関係」を改善しなければならない。
そう思います。
政治家は分かっているのかな。
自分達のやっていることが、被災者を動けなくしていること。
もし「確信犯」だとしたら…いやいや、さすがにそこまでは考えたくありません。
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