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2013.01.25

「最高の離婚」

「最高の離婚」というドラマを見ています。

…どうですか、このドラマ。なんというか、面白い、というわけではなく、スカッとするわけでもなく、感動するわけでもない。
けれど、見終わるといつも、心がザワザワします。もやもやというか。で、ドラマのセリフが心に残って忘れられなくなります。

今日、放送の回がまた衝撃的でした。
もしかしたら、このドラマ全体のテーマが、まさに「これ」なのかもしれないなぁ。

少しドラマの内容に触れましょう。

よくあるドラマの設定なんですが、学生時代につきあっていた彼と彼女が偶然、町で出会い、おまけに近所に住んでいることが判明しまして。

お互い、表面上は既婚者ですが、ドラマの主人公である「彼」は、妻に愛想を尽かされ、離婚届を提出されて、法的にはもう離婚しちゃってます。まあ、彼本人も離婚届書いて妻に渡してたんだから、文句は言えない。

もう一方の「彼女」の方もなかなか複雑で、そちらはどうも、もともと婚姻届を出してないようです。
彼女の夫にあたるはずの人は、かなりのいわゆるプレイボーイで、浮気しまくりで節操のない男。

そういう破たんした夫婦同士の話ですから、見ていて「もやもや」するのは、考えてみれば当たり前の話なんですが…

今日の話では、大学時代に「彼」と「彼女」であった二人が、どうして当時、別れてしまったのか、その真相が「彼女」の口から語られます。

要約すると…

彼女にとってはとても大事な思い出の曲があった。自分の夢の象徴でもあった。

彼女はある日、彼に今まで言えなかった自分の夢を語ろうと思って、その曲を二人で暮らす部屋で流して、彼を待っていた。

なのに、彼はその曲を聴くなり、その曲のことをバカにしたような発言をしたわけです。

もちろん彼は、その曲が彼女にとってそれほど大事なものだとは知らない。

彼女は傷ついて、一人で部屋を出て、泣いて…しばらくして帰ってくると、彼は部屋で映画を見ていた。映画は「ジョーズ」で。
彼女のお父さんは漁師でサメに襲われて亡くなったのですが、彼はそれも知らなかった。
映画を見ていた彼が、そのときに
「サメに襲われて死ぬのだけはいやだよな」
みたいなことを言いました。彼女は翌朝、何も言わずに二人で暮らした家を出て行った。

という話なんですが。

ドラマの中でも何度も言われるんですが、つまりある人にとってとても大事なものも、ある人にとってはまったくとるに足らないものだったりする。それは仕方ない。「他人」なんだから。

究極、それに尽きてしまいます。

このドラマでは、第一話からずっと、夫と妻のすれちがいが描かれますが、それも全てそういうこと。

お互いにこだわるポイントが違う。気遣うポイントも違う。思いやる気持ちも、思ってほしいことも全部違う。

価値観の相違、と言ってしまえばそれまでで、それが離婚の原因にもよくなりますが、それがホントなら、人間、結婚なんてできません。だって他人だもん。

大事にしているものならば言ってもらわなければ分からない。
つらい時、苦しい時も言わなければ分からない。

でも言えばいいってもんでもなく、言い合えばケンカになるわけです。どっちが飲み込んだり折れたりして、相手に合わせれば、価値観は一致したかのように見えるけど、でも、それがベストってわけでもない。

お互いがお互いを思ってさえいれば、実は簡単なことかもしれないけど、思いやりの比重も結局、重さや量で比べられるもんじゃないだろうし、フィフティフィフティならいいってことでもないんだろうと。

じゃあ、夫婦ってのはどうあればいいのか?

言うまでもなく…そこを乗り越えられなければ「他人」から先へは進めないのでしょう。

私にはそれがすごーく難しいことのように思えるので、結婚している人を尊敬しています。

私は情は深い方ですけど、きっとそれを相手にも求めてしまうだろうな。
だから相手にとっては重いし、負担になる・・・それ言われたらぐうの音も出ません。

見るたびに、胸がざわざわするのを抑えられないドラマ、「最高の離婚」。
これからもずっと見ちゃいそうです。


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