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2013.08.04

「神学校-Noli me tangere-」感想

これはPIL-SLASHのPCゲーム「神学校/Noli me tangere」の感想です。
このゲームは18禁のBLゲームです^^;
そういうゲームに免疫のない方、すみません。
何言ってるんだか分からない方もすみません。
このゲームをプレイしたことがある人にだけ分かる、非常にニッチな感想記事なのですが、あまりにも素晴らしい出来、感動の作品なので、ここに書かずにはいられません。ごめんなさいっ!
そして一部ネタバレありです。これからプレイする方はご注意ください。

一言でいってシナリオが素晴らしい。作者は「神様」だと思いました…いや、ほんと。
こんなお話が作れてしまうのか。自分でも小説書きを趣味としている立場の私としても脱帽の一言です。恐るべし。

私はごくごく自然にセシル、レオニード、ニールの順にシナリオを進めたのですが、個人的に
「ホントは優しいかもしれないけれど一見さんに冷たい人」
及び
「初対面からいきなり馴れ馴れしくベタベタしてくる人」
というのが、基本、大嫌いなんです。
こう書くとこのゲームをプレイしたことのある人は分かると思いますが、つまりレオニードとニールは全くタイプじゃなかった。だから選択の余地なく、セシルver.からゲームを進めました。

すると、セシルver.はだいたい予想通りの展開。
BLゲームなんて初めてなのですが、なるほどねーといった感じ。
そこまではまあ普通の感想です。

その後、仕方なく(?)レオニードver.をやり始めたのですが、シナリオが進むに連れ、不思議なことに、好きになってきてしまうんですよ、レオニードのこと。
とにかくレオニードは絵になる。きれいです。何でもない正面のショットでさえキラキラ輝いて見える。
表面的な性格は冷酷そのものなのですが、それが…「ツンデレ」っていうのはまさにこういうことかという。
レオニードが「マイケル大好き」になる後半からの流れは見所満載で、あの「鉄壁のレオニード」がこんなこともあんなこともしちゃうのか~、そうか~。
そういうストーリー展開がごくごく自然で納得できて、だからこそ感情移入できてしまうというシナリオの完成度の高さにはまさに脱帽以外の言葉がありません。

だからレオニードが最高だと、これ以上はないと思っていました。
思っていたら…なんということでしょう。

上に書いたように、私は個人的にニールみたいな人は超苦手です。
このゲームの主人公、マイケルも最初は嫌そうだったなぁ。
レオニードには初期段階から好意を持ってたような感じでしたが、それに比べるとニールを相手に恋に落ちるのはかなり時間がかかりました。

マイケル本人も言ってましたね。
誰かを心配したり、面倒を見たりするのは得意でも、逆は苦手だ、と。
何かといえば家訓を持ち出す、あのチャらい台詞もうざったかった。私はスキップを多用してました。

…なのに。
なのに、好きになっちゃうんだなぁ、これが~~

まじめな話、ニールの設定って、主人公よりもずっと年上ですし、その上、牧師さんだし。
マイケルとどうにかなるなんてはっきり言って犯罪です。牧師としても神の教えにそむく大罪。
BLだからいずれはそうなるんだろうとは思いましたが、どうやったらそうなるのか、これはいくらなんでもかなり無理なんじゃないかと思ってストーリーを見ていきました。
でも、ニールver.でもちゃんと最後の最後にはそうなります。
それも不自然ではなく。ああ、これならありかなぁと思える。これはすごいことです。

ニールが孤独な身の上であることは、伏線がいくつかありますからなんとなく察することはできました。
ただ、それに対する同情心は私にはなかったな。
というか、同じ身の上である共感からそうなるのでは、私はきっと納得できなかった。

私自身がニールを好きになる流れというのは、彼の生き方の根底を形作る、「身軽さ」でした。
何事にも深刻にならない。いや、なってるのかもしれないけれど、それを絶対に人に見せない。
いつも前向きで明るい。
それが結局、絶望の淵にあったマイケルを救っています。

彼自身も地獄も見た。辛い思いもした。けれど人間が好きで。地の底にあっても基本的な信頼を失わない。
「基本的な信頼」、もしかするとそれがある意味「信仰」というものなのかもしれなくて、その「軽さ」の上にある強さは尊敬に値します。

…「年齢」じゃないよな…これって。
どうしたらこんな大人になれるんだろう?

私はフィクションの世界でしかこういう大人に会ったことはありませんが、できるなら自分がそういう大人になりたかったなぁ。そういう意味で、ニールという人は自分とは対局にあるんだけど、「憧れ」の存在なんですよね。

私はマイケルがニールと恋に落ちる前から彼を信頼していました。
だからニールver.では、預言者ゲームでもこのシナリオ中で初めて当たるはずのない預言をしてみました。
でもそれでは悲劇は防げないのですけども。

その結果、マイケルはわざと罠にはまる選択をせざるを得ません。
かくて「愛する者を手にかける」預言は発動し、マイケルは終わることのない幻覚に悩まされることになってしまいます。

そうなった後も、ニールは預言の発動の阻止のために最大限の努力をし、発動してしまった後はマイケルを救うために大芝居まで敢行。
まあそりゃそうだよなぁ。マイケルをこの事件に巻き込んだのはあなただだもの。
大人の責任として彼はマイケルを守り切り、ルシフェルを追い詰め、無事、秘密結社は壊滅、ただし、神学校の信頼は地に落ちて、もしかすると彼のミッションは失敗?というオチとなります。

そもそも、なぜ彼はこの仕事を引き受けたんでしょう。
作中では少し触れられる程度ですが、恩のある人に頼まれちゃったから仕方なく、という感じなんでしょうな。
だからミッション自体には失敗しちゃっても
「しょーがねーだろ」
の声が聞こえてきそうな気がします。

本当はやりたくないことでもやらなきゃいけなくなったらやる。
で、やったことの責任は最後まで自分で取る。
そういうところがまさに「大人」。私自身も大人だからその辺もとっても共感してしまいます。
ただしそんな大人の彼の、唯一の誤算が、そう、マイケルとのことでして。
それが本当に「誤算」ぽく、ついつい、「やべぇ」だとか「やっちまった」とかぼやくところがなんともおかしい。
ああ大人でも失敗することがあるんだなーなんてね。

最後の最後もニールは予測を誤ります。
まさかあんなことになるなんて、彼は予想もしてなかったでしょう。
でも…人智の及ばないところで起こる奇跡、それを私達は「神」と呼ぶ。
不良っぽくて軽く見えるけど、実は誰よりも敬虔な牧師であるニール・ローウェルの身の上にもたらされるソレこそ「神の恩寵」という言葉がぴったりだと私は思いました。

台詞にはありませんが、私は、きっとあの二人はあの後、神に感謝したんだろうと思っています。
再び巡り会うことができ、結ばれたことにね。

というわけで、ニールver.のシナリオが大好き、ニールが大好きでしょうがありません。
ニール風にいうなら「やべぇ」って感じです(笑) ホントにやられました。
レオニードよりもニールが好きになるなんて思ってませんでした。

すごいわ、このゲーム。

本日、全てのシナリオをコンプリートしてしまって、明日からがさみしくなってしまうのが心から残念なのですが、ホントに楽しかったー。

もちろん楽しいだけではなくて、「神」の意味について各シナリオでそれぞれの答えを描いているのには感動を通り越して感銘を受けました。

私自身の問題としてもとても考えさせられたな。
私はキリスト教の信者ではないし、その意味では一番近いのはレオニードなんですけど、他のシナリオでは、レオニード以外の各登場人物の考え方にも共感できます。たとえばニールについては上に書いたような感じでね。
いろんな意味で、一生忘れがたい作品になったことは間違いありません。

このゲームを作ってくれた人たちに心から感謝します。ありがとう。

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Comments

BUBIさん、おひさしぶりです。お元気ですか?
私の方は(仕事は引き続きやってますが)リアルはもうなんだかなーどうだろなーという感じなので、教え子に教えてもらったBiSというバンドのファンになってみたりして和んでいます。
「神学校」やってみますね!

Posted by: ちょこ | 2013.09.15 23:44

ちょこさん、お久しぶりです。
お返事遅れてすみません。
実はこの10月から転勤で仙台に住むことになりました。
ちょうど引っ越しで~
「神学校」いいですよ。おすすめです♪

Posted by: BUBI | 2013.09.29 16:29

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