あなたは望んで大人になりましたか ~「図書室のネヴァジスタ」(ネタバレあり)~
皆様、あけましておめでとうございます。
今年もボチボチ更新してまいります。どうぞよろしく~
昨年、AmazonでPCゲームのソフトウェアをいくつか購入したところ、Amazonから「図書室のネヴァジスタ」というPCノベルのソフトウェアを薦められました。
ゲーム、というよりはやはり「ノベル」、つまり小説。ゲームブックといっても最近の方は分からないでしょうが、要はPC上の画像と文章で物語を辿っていくと途中で選択肢が現れて、その選択によって先の展開が幾通りかに分岐していくという作品です。
最近は、登場人物のセリフ付(フルボイス、っていうみたいですね)のものが多いですが、ネヴァジスタはBGMや効果音のみ、セリフに音声はないので私の感覚ではやっぱり「小説」です。
こういう作品に慣れていないので読みにくいことこの上なく、登場人物の誰が何をしゃべっているのか分からなくなることしばしばでしたし、ミステリーなのでそもそも物語の中の出来事に前後の脈絡がありません。事件や現象が先に起こり、それがなぜ起こったかは、後から分かってくるという因果律を無視したストーリー展開。読んでいくと頭がごちゃごちゃしてきます。
無論、それは、登場人物達自体が何が起こっているのか分からないままに事件に巻き込まれていくというストーリー展開と合わせた演出だとは思うのですが、正直、途中で読むのが面倒になっくてくるほど。
それでも、やっぱり謎の答えが知りたくて3連休はずっと、PCとにらめっこしていました。
「あなたは望んで大人になりましたか」はこのゲームのキャッチコピーです。
ここからがネタバレ。これからプレイする人は見ないでね。
・・・
・・・
・・・よいですか?
「ネヴァジスタ」とは「ネバーランド」のことだったのですね・・・
ゲームの中でこんななぞかけがあるのですよ。とある少年が、友達にこんな手紙を送ります。
(引用開始)
ネヴァジスタを見つけた
彼の言った意味が分かる
本当に残念なことだけれど
それは君が死ぬのと同じこと
(引用終わり)
大人になりたくなかった子供がいて。大人になるのをやめるには死ぬしかなかった。
そういう物語が「図書室のネヴァジスタ」です。
小説に出てくる大人になりたくない子供たちはみんな10代。高校生です。
いわゆるダークエイジ、暗黒の世代ですな・・・
私だってあの頃はそうだった。大人なんて働いて死ぬだけだと思ってました。世の中は絶望に満ちていて、この先、生きていてもつらいことばかりだと思っていました。
あんなにつらいことばかりだったのに、暗黒時代に命を絶つことなく、そこを乗り越えた私は、大人になることは自由を手に入れることなんだというのを知りました。
親や世間や知識やいろんな枷に、なぜ子供の頃は縛られなくてはいけないのでしょうね。
逃げ出せないオリに見えた恐ろしい牢獄は、実は概念でしかない。
解放された先には、何でもありの、果てしなく広く、美しい世界が広がっていました。
ネヴァジスタに出てくる子供たちはどちらかというと檻に閉じ込められて、助けを求めている子なので、私から見るとネバーランドに住むピーターパンとは真逆のようにも見えます。
子供の頃が幸せで、ハッピーならば、大人になることが檻に入るように見えるでしょう。
だから命を絶つことが永遠を手に入れることと=に映る。
でも子供の頃が辛いなら、大人になることはそこからの解放なんだけどな。
なんて・・・それは今だから言えるのか^^;
しかし、あらためて「望んで大人になったのか?」と問われると、私は決してYESとは言えません。
これを読んでいる皆様はいかがでしょうか。
結婚をせず、子供もいず、誰にも縛られない、どんな選択でも可能な自由を選び取った私は、実は中身はそんなに彼らと変わってはいないような気がします。
子供かと言われると子供ではありません。
でもいわゆる大人でもない。
知らない方には誠に恐縮ですが「スカイ・クロラ」というアニメ映画をご存知の方はいらっしゃいますか。
この映画には「キルドレ」という大人にならない子供が出てきます。
この映画を見たときに、私は、
「私たちがキルドレなんだ」
と思いました。
世界は変わらないかもしれない。
何も変えられないかもしれない。
それでも生きていく・・・
子供の頃に見た絶望の世界と、実は今、私の目の前に広がる世界は何一つ変わったわけではないんです。絶望も希望も・・・世界はあるがままにあるだけで。
それでも生きるということに望みをつなぎ、次の世代に夢を託し、生きるのが「命」なので・・・
そのことを私たちは暗黒時代に足をすくわれそうな彼らにどう伝えていけばいいのだろうと。
今、「図書室のネヴァジスタ」を見た、大人になった私はつくづく思うのでした。
望んで大人になったわけではないけれど、生きた年数だけ積み重ねたものがあって。大人になるということはおそらくそこに希望をつなぐことなんだろうと思います・・・彼らに説明しろといってもできないけれど。
あ~、私、商売に「先生」を選ばなくてよかったーw
「図書室のネヴァジスタ」はおそらく、彼らの世代にすごく響く作品なのだろうな。
未来には絶望しかないと信じている。
でもそんな彼らに希望を見せるための小説でありゲームなんでしょう。
もし、機会がありましたら、下記のリンクからちょっと覗いてみてください。
こういうゲームに慣れない方は、非常にとっつきが悪いかもしれませんが・・・
もしかしたら、このゲームは誰かの「救い」になるかもしれません。
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