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2014.01.20

フルリスペクト ~一直線の尊敬~

 先日、黒執事原画展を見に行き、コミック最新刊も発売されましたので、コミックを読み返していてふと思ったこと。
 とあるエピソードでこんな才能を持つ青年が登場します。

 その青年は、自身に何か特別に秀でたものがあるわけじゃない。
 でも、周りに特別な才能を持つ天才がいると、その人を尊敬し、自分もその人に近づけるように努力を惜しまない。
 そうしてその天才と同じ技術を身につけてしまう。
 これは紛れもなく一つの才能であり「黒執事」の中ではその才能を「フルリスペクト」=一直線の尊敬、と名付けています。

 このエピソード、前に読んだ時はそれほど印象に残っていませんでしたが、最近、ネットの有料動画で「黒子のバスケ」を視聴しまして。
 見たことのある方はピンと来ると思うのですが「黒子のバスケ」にも主人公の黒子(くろこ)君を含め「奇跡の世代」と呼ばれる6人の天才バスケットプレーヤーが登場します。
 その一人、黄瀬(きせ)君が「フルリスペクト」に似た(もしかしたら同種の)才能の持ち主なのです。
 「黒執事」よりも、「黒子のバスケ」における黄瀬君の才能はより詳しく描写されているので、「黒子のバスケ」を読むとよりこの才能の本質が理解できるような。

 黄瀬君の才能は「黒子のバスケ」では「コピー」と表現されています。
 相手チームのエースプレイヤーの優れた技を一瞬でコピーできてしまう。
 これは・・・敵チームにとっては驚異ですよね。
 コピーというと自分では努力せず、相手の技を盗む、みたいであまりいいイメージはないですが、黄瀬君はもともとバスケに限らず、他の人が何かをやっているのを見ると、自分もすぐできるようになってしまう子でした。

 「黒子のバスケ」ではそれを「学習能力が高い」と評します。
 何かを習得しようとするときって、それなりに時間がかかるのが一般的。
 でも黄瀬君の場合はその「時間」が人並みはずれて短くて済んでしまうのです。これが黄瀬君の才能。
 すごく特別なことのように思えますが、実はこれってそうでもないのかもしれません。
 テレビから流れてくる歌をすぐに覚えて歌えちゃう子っているでしょう。
 誰も教えてないのに、見たものを、そのまますらすら絵に描けちゃう子もいます。
 他の人がなぜできないのかの方が分からない。
 黄瀬君に限らず、普通の人が時間をかけて習得することをあっという間にできてしまう人はいます。

 黄瀬君の「コピー」はだから「真似」ではない。
 いえ、正しくは「真似」ではありますが、それは私達がみんな普段「学習」という名前で呼んでいる作業の時間がものすごく短縮されたバージョンといっていいでしょう。
 「黒執事」で「フルリスペクト」の能力を持つ青年もクリケットの試合で一度見ただけの相手プレーヤーの投球方法を同じように再現することができました。

 見ただけで何でもできてしまう黄瀬君にも、唯一、なかなかコピーできないバスケットプレイヤーが「奇跡の世代」にはいて、黄瀬君はその彼に勝つために、彼への「憧れ」を捨て、彼のプレイの完全コピーに挑戦します。
 この流れは「一直線の尊敬」が相手の能力を習得することにつながる「フルリスペクト」とは反対で、黄瀬君の場合は、相手の全てを自分が習得してしまうことによってもう学ぶものがなくなっちゃうとつまんなくなっちゃうというトラウマがあってそれまでは相手のプレイのコピーがどうしてもできなかったんだけど、そういう思いを捨てた時に完全コピーが完成する、という話でした。

 ただ、それまではやっぱり自分のをいく人への憧れがあって、黄瀬くんもそれがあったからバスケやってきたんだな、と。
 「憧れ」そして「尊敬」が自らを高みへと導く、そういう「才能」っていいな~と、全然関係ない二つの物語に、似たような才能の持ち主が出てきたのを読んで改めて思った、という話。

 よく受験や就職の面接で「尊敬する人は?」って訊かれるって言いますよね。
 皆さんはそれって誰って答えますか。就職面接だと「父です」とか答えると印象がいい、と前に聞いたことがあるな。

 私は「尊敬する人物」と言われてピンと来る人が昔はいませんでした。
 当時、「千代の富士」は尊敬してたけど。だって一人横綱で各界を背負って立つなんて並大抵の覚悟でできることじゃないし~。
 でも就職面接で尊敬する人物を聞かれて「千代の富士」とか答える女子学生がいたらびっくりされただろうな。
 よほどの変わり者だと判断されて落とされそう。
 今の職場の面接では、あんまり覚えていませんがその質問自体されなかったんだと思います(笑)。

 「尊敬」ってのは本当は誰でもいいんだな。
 自分より優れているものを持っている友人なら誰だって。
 そうやって周りを尊敬できることが才能ならば、そういう才能こそが実は私達にとってもっとも必要なものかもしれません。

 でもやっぱり今でも私は「尊敬する人」を聞かれたら困ってしまうな・・・
 本音を言えば「天上天下唯我独尊」だからな~(こらこらこらこら)
 だから何もできるようにならないんだなぁ、うん。
 皆様、こういう大人になってはいけませんよ。

 今からでも、周りの人を少しずつでも尊敬できるように、そしてそういう人に近づけるようになりたいと思います。

 でも「リスペクト」には「尊敬」だけでなく「尊重」の意味もあるんだって。
 「尊重」なら得意。
 「人は人、自分は自分」ってことだものね。 え? 違う?(爆)

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