poem(105)
「アリア」
涙は重く低く流れる
悲しみは胸の底で凍りつき
外へ叫ぶ力を持たない
失ってはならないもの
それは人それぞれにあるのだろう
本人にさえそれは分からないのだ
失ってしまうまでは
永遠など有りはしないことを知っていても
私たちは生きることを急いだりしない
そして「諸行無常」という言葉で
自らを納得させようと試みる
それでも
おそらく失ってはならないものはある
それを認めたくなくて
悲しみは心の底で封印される
友よ
遠いあの丘で
朝の黎明を待つ私を見かけたら
一言だけ声をかけてもらいたい
「人、還る場所はみな同じなのだ」と
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