poem(109)
働くようになると
仕事には「卒業」がないので
1年の区切りがあまり意味を持たない
去年も一昨年も
今年も来年も
同じことを繰り返しているだけ
けれど昨年から東北に来て
1年という期間限定の中で仕事をしている
すると今年は季節の移り変わりが
私がここにいる残り時間を知らせてくれる
年の終わりはなぜ冬なのだろう
芽吹きの春
太陽が輝く夏よりは
終焉にふさわしいのが冬だからだろうか
全てが白く覆われ
音もなく降り積もる雪の中を静寂が支配する
あの季節が死にふさわしいからか
人の一生も1年と同じなら
今 私は
銀杏(いちょう)の葉が黄金色に輝きながら舞い散る秋にいて
日を追うごとに弱まる陽光に
やがて来る冬の静けさを予感している
でも季節は巡るもの
冬が来たら次は春がやってくる
もしも人の生も同じなら
死の後にはまた次の生が待っている
(次の春 また全てを最初から始めよう)
青く高い空を見上げながら
私はそう独りごちる
でもその前に
この人生を
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