「誰も知らない」
「誰も知らない」という映画をご存じでしょうか。
2004年の作品で、「主演の柳楽優弥が史上最年少の14歳という若さで、2004年度カンヌ国際映画祭主演男優賞に輝いた話題作」だそうです。詳しくは上の茶文字をクリックしてYahooの映画情報でチェックしてくださいね。
以前からちょっと興味があって、観てみたいと思っていたら、動画配信サイトで配信されていたので見てみました。
この映画は、実在の事件を元にしたものです。
私、全然知らなかったんですけど、1988年に発生した「巣鴨子供置き去り事件」という出来事を下敷きにしているそうです。
私にとって、育児放棄(ネグレクト)の事件って、2010年、大阪の、子供二人をマンションの一室に閉じ込めて放置した母親の事件が記憶に新しく、もちろん、そのほかにもネグレクトによる放置で子供が死亡する事件が、近年後を絶たないのは知っていましたが、1988年か・・・こんな以前から、こんな形で子供を放置する母親がいたのか。
こういう事件て、今までどれくらいあるんだろうとネットを見てみると、例えばこんなページで確認することができます。巣鴨の事件よりも前からずいぶんあるんだなぁ。2006年の苫小牧の事件もひどいよな・・・
「誰も知らない」の映画を見て、私が一番最初に思ったのは、子供ってやっぱり大人の手を借りなきゃ生きていけないんだ、という厳然たる事実、でした。
私は三原順さんのマンガ、「はみだしっ子」シリーズが好きでよく読んでいたのですが、はみだしっ子の子供たち、グレアム、アンジー、サーニン、マックスも親を見限り、子供4人だけで、生きていくお話でした。
彼らのような生活もアリ、だとずっと思っていたのですが、映画の「誰も知らない」を見ると考えが変わります。
当たり前かもしれませんが・・・
子供は子供だけじゃ生きていけない。
「誰も知らない」の子供たちも4人。母親が帰ってこなくなって、仕方なく、子供たちだけで生きていこうとがんばるのですが、そのうちお金も尽きて、一番上の子は13才ですけど、当然どこでも働かせてももらえなくてお金を得る手段もない。
水道、ガス、電気を止められれば、公園の水道で水を調達するしかないし、コンビニで廃棄されるお弁当でなんとか生き延びていたとしても・・・
その結果、何が起こったかは、実際の事件を知る前に映画でぜひ見ていただきたいです。
見終わって、何とも言えない気分になりました。
母親が働いて、家に帰っていた頃はまだ、それでもまだみんな笑顔だったんですよ。
学校に行かせてもらえてなくて、家から出ることも許されなくて、そういう生活も問題だとは思うのですが、それでもね。
彼らだって、幸せになれる権利はあったはず。
どこでどうしてこんなことになってしまったのか・・・
私は幸い、ちゃんと大人になれて、社会が敷いたレールを外れることなくこれまで生きてこられたので、食べることや住むところ、着るものや働くところにも困らずに生きていられます。
でもそのレールってこんなに簡単に外れてしまえるものなのかと。
そして外れてしまったらもう戻れない。どうにもならない。
知っていたはずなんですが、映画を見て、空恐ろしくなりました。なんてことだ、と。
子供たちを置き去りにした母親は、どういうつもりだったのか・・・なんて考えても仕方ないことをつい考えてしまいます。
マンガの「はみだしっ子」でも、4人のうち一番小さいマックスがこう言うシーンがあります。
「それでもボクたち生きてきたよ」
現実の世界でも、親とはぐれた子供たちが何とか生きていけるように、きっとがんばっている人はいるんだろうと信じたい。実際に、批判を受けながらも「赤ちゃんポスト」も続いているし・・・
もちろん親がちゃんと子供ができたら養育する、のが当たり前なのですが、もし、そうできなくなったときも子供たちが生きていかれる受け皿がないと、やっぱり、この世界はダメなんだろうと。
レールを外れないように生きるのがもちろんベストですが、そうできなかったとき、リカバリーできる仕組みを作っておかないといくらでもこういう悲劇は起きてくるわけで。
たとえば、今、一番問題になっている母子家庭の貧困もそうですよね。
本当に・・・いろいろと考えさせられる作品でした。
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