「輝く女性」に感じる違和感
政府が掲げる「すべての女性が輝く社会づくり」がちょっと・・・という記事が朝日新聞に出ていました。
私は女性ですが、正直、あまりいい感じはしません。
てか「女性」がどーの、ってのが古いなぁといつも思います。
「輝く女性」そのキャッチフレーズからして嫌なんだよなぁ。
そんなに輝いていなくちゃいけないのか。普通でいいやん。
大事なのは、女性が古い考え方や風習に縛られることなく、自由に人生を選択できること。
いえ、女性に限らず、人がみな等しく「誰もが」そうできること。
と、私は思っています。
前回「『女三界に家なし』に異論」の記事を書きましたが、私が一番感じるのは、人が助け合って、この世界で生きていく時に、
「働いて金を稼ぐ」
のがもっとも上、という価値観が危険なんじゃないかということ。
女性でなく男性でももちろんいいのですが、稼いで金銭的に家計を支える役割をする人ががいる一方で、「外から金を稼いでくる」のではなく、社会貢献や地域作り、家庭作りのために、ある意味、ボランティアで活動する人も大事。子育てだったり介護だったりね。お金は稼げないけれど、とても大切な「仕事」です。
そしてそれを日本では女性が担うことが多かった。
女性に「稼ぐ仕事」をしてもらおうってのはいいんですが、じゃあ、今まで女性が担ってきた役割って誰がするの? 誰もしないの?
というと、女性にその役割を担わせようとしているかのように読めてしまうのかもしれませんが、私はそこは「自由に選択」できればそれでいいんじゃないかと思うのですよ。
A 外に稼ぎに行ってもいい。
B 稼がなくても、家庭で家族を、地域で地域の人達をサポートするのでもいい。
どちらも選べるようにならないかなー。
で、Bの人の役割も重要なんだから、Bの人を養うAの人に税金の控除とかの優遇策はあって当然だし、
「Aの人はBの人を金銭的にサポートするのは当然」
というふうにもなってほしい。
Aの人、Bの人、両方いて、社会は成り立つわけです。
なのに、今はみんなをAにしようとしているような気がする。
Bの人の社会的地位が脅かされているような気がする・・・
そのことに私はすごく危機感を覚えます。
「輝く」って何? 「金を稼ぐ」ってこと?
そうじゃないんじゃないかなぁ。
今の日本の最大の課題は、少子高齢化じゃないんだっけ?
となると、外で金を稼ぐのも大事じゃないとは言わないけど、子供やお年寄りなどの社会的弱者をサポートする人の地位を向上させなくちゃいかんでしょう。
そういう人や、そういう役割が、「お金を稼ぐ」ことよりも下のように言われ、稼がない人が怠けてるみたいに言われるから、みんな子供を持ちたくなくなるのでしょう?
女性を働かせなくちゃいけないわけは、どうも、近い将来労働人口が減るために、働いてない女性を労働力にしないと日本社会が破たんする、という事情のようで、それも分からなくはないのですが、それと引き換えに、何かを失ったら、本末転倒。事情があって働くのが難しい人も、みな人間らしく、幸せに生きられる社会にならなきゃ、安心して年もとれない。子供も育たない。
政府が目指していることって、何かが違うんじゃないか、という気がしてなりません。
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Comments
たしかに、「Bの人」を「Aの人」に変えることが進められてきたのがここ数十年の趨勢だと思います。それは、一言で言えば「アメリカ型社会への移行」であり、「輝く女性」とは「家庭の外で活躍する女性」とほぼ同義に使われているように思います。
それで、「Bの人」は輝いていない、と感じられるのでしょう。目立たないのは事実なので、その意味では仕方ないかもしれません。でも、おっしゃるように重要であることは間違いなく、それが「輝いていない」とされる理不尽さが、「輝く女性」というキャッチフレーズを嫌う理由なんでしょうね。
「輝く人」とは、男女や年齢を問わず、AでもBでも、何事にも前向きに取り組み、常に向上心を持ち、明るく若々しい人を形容する語として使うべきではないか、と僕は思います。
Posted by: 春海 | 2015.07.02 11:27