新年初の記事です。
今年もよろしくお願いしますm(__)m
東洋経済オンラインに以下のような記事が掲載されています。
「なぜ日本は「女性の生産性」が極端に低いのか
-男性と「同一労働」をさせる覚悟、する覚悟-」
「新・所得倍増論」という本を上梓している筆者は冒頭でこういっています。
(引用開始)
「日本経済低迷の原因は、女性が怠け者だから」というタイトルの、「星5つ」のレビューがありました。高評価はありがたいのですが、私が言いたかったのはそういうことではありません。誤解を生んでしまったままでは女性の皆様に申し訳ないので、本稿では、女性の生産性についてあらためて考えていきたいと思います。
(引用終わり)
記事を読んでみると、
・日本の生産性は低い
・GDP=人口×生産性
・日本の生産性が他の先進国と比べてここまで低い理由の約半分は、「日本人女性の生産性の低さ」で説明できる
・女性の給与は男性の約1/2。それは1979年度から2014年度までの35年間でほとんど変わっていない。
・男女の給与の差は「同一労働=同一賃金」になっていない(男女が同じ仕事をしているのに女性は給料が低い)からではない。
・もしそうなら、企業は安い賃金で使える女性を重用するはずだから。
・つまり、女性は給与に見合った労働をしている。労働に対して賃金は釣り合っている。差別ではない。
筆者はそこで、こういう言い方をします。
・女性を活用せざるを得ない「窮地」をつくり出す必要がある。
・女性の生産性を上げなければ、瀕死に陥っている社会福祉制度をどうするのか。移民に頼るのか。
そしてこう結びます。
「女性の生産性を高めるか、移民を迎えるか、社会保障を諦めるか。私には、答えは明らかだと思います。」
うーーーーむ。
いやぁ、でもさ。
今の社会システム(年末に人不足が問題になった宅配便でもピザ屋でも)を維持するために働く人を増やさないといけないとしてもよ?
そもそも労働環境が悪いブラックな職場で、男性であろうと女性であろうと日本に移民を希望する外国人労働者であろうと、本来は働きたくないわけで。
というかピザ屋でも宅配業でも介護でも、そのシステムを維持するために、安い賃金で馬車馬のように働く労働力を投入しなければ成り立たない社会って「奴隷制度」ですよね。
奴隷制度、ダメでしょ^^;
そのサービスが必要不可欠なものであるなら、価格が高くてもユーザーはそのサービスを利用する。
その結果、企業の収益が増え、労働者の賃金が上がる。
それが健全な在り方だと思います。
ユーザーとしての私は確かにサービスの値段が上がると困るけど、それならピザ屋を利用しないし、もし宅配よりもコンビニ受け取りが安いなら、コンビニ受け取りにする。
それで需要と供給のバランスがとれていくのではないかな。
問題は「社会保障」のカテゴリである介護とか育児サービスでしょうか。
ここは元々、公のサービスだっただけに、必要不可欠だけど簡単に価格を上げるわけにもいかない。上げると、低所得者層でそうしたサービスが利用できなくなる。介護をうけないわけにはいかない状況は誰だって当然あるでしょうし。
でもだからといって、職員の給与水準を低くしてたらそりゃだめだ。
民間ではやっていけないからこその「公的サービス」なんだから、結局、やはりこれは公的資金、つまり税金で補てんしていくしかないよな。
社会システムの維持に必要不可欠な労働に対して適正な賃金が支払われる。
その結果として生産性が向上していくわけだから、今は、バランスがとれてないということなのかな。
ただ、こう書いてきて私が思うのは、基本的に筆者のいう、
・女性の生産性を高めるか
・移民を迎えるか
・社会保障を諦めるか
この三つの選択肢ってどれも選択したくない、ということ。
だって、結局、社会保障(何のことを言ってるのか定義がよくわかりませんが、まあたとえば「介護」だとして)を始めとする今の社会システムに人が足りないときに、そこに女性や移民を仮に投入したとしても別にそれで生産性が高まるわけじゃないでしょ。
生産性の向上ってのは、いかに少ない人数で成果を出すかって話だから、安い労働力を投入すればますます生産性は落ちるばかりで。
介護だったら今の、人に頼るやり方一辺倒ではなく、できるところから機械化していくことが大事だし、宅配だったら今の方法(たとえば再配達の仕組みをコンビニ受け取りにするとか)改善をするしかない。集配所受け取りに何かインセンティブを付けたりするとかね。
人を増やすことよりも同じ人数で、今と同じ成果を出すための工夫をする。それが生産性の向上で、別に女性を働かせることだけが解ではないと私は思います。
私はそもそも生産性なんて低くたっていいんじゃないかと思っていまして。
大体、先進国の生産性が高いなんて言ったって、ごく一部の、数人で何億も稼ぎ出す人のせいで平均を取ると上がってるだけでしょ。
大半の米国人は、いい暮らしもいい仕事にもありつけず、だからトランプさんが選ばれた訳でしょ。
日本はいろんな人がいろんな仕事をシェアして、社会システムを築いています。
だから一人一人の生産性はそんなに高くないけど、みんなそこそこの仕事をしてそこそこの給料をもらって食べていく。
いえ、今は格差が広がって、その「そこそこ」ももらえない人が増えてきているのでそれが問題になっているけれど、生産性の議論とそれはまた別の話。
大体人手不足に対しては高齢者を働かせることが一つの解として今、動いているじゃないですか。
高齢者になったら、馬車馬のように働くことなんて無理なんだから、それこそ低賃金だけど、労働としてもそんなに過重じゃない仕事を多くの高齢者で分け合って、社会システムを動かしていくしかないでしょ。
生産性なんてますます下がるよな。
基本的には、高齢者や、小さな子供を持つお母さんが自分のライフスタイルに合わせた仕事をできる世の中が理想。それで私達の暮らしがまわっていけば問題ないわけで・・・
え? それじゃ世界から遅れる? 先進技術や新製品の開発競争に乗り遅れる?
それは今までどおり、大企業にがんばってもらわなきゃ。女性がどーの男性がどーのではない。人手不足とも関係ない。
単純労働ではなく、そういう世界でがんばってる人もたくさんいるし、むしろ日本人の労働者のメインはそっちなんじゃないかな。
生産性向上はそっちの方々にがんばって欲しい。というか言われなくてもがんばってると思う。
元々、全ての人間がスティーブジョブズのようになれるわけじゃないんだから。
世の中の大半の人間は目の前の仕事を粛々とこなし、対価としての給料をいただき、家族とささやかな正月を過ごすだけで十分じゃないのかな。
そういう生活を守るために「社会システムを維持」することは大事だんだけど、そのことと「生産性」を一緒に語るとどうも焦点がぶれる気がします。
ましてや「女性の生産性を上げろ」って、何ソレ?
女性が自分に合った仕事を、育児や家事と両立出来る範囲でやっていくことの何が悪いの?
「女性を活用せざるを得ない「窮地」をつくり出す」だなんて、今以上、日本の女性を追い詰めないでよ、と私は思います。
皆様はいかがでしょうか。
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