poem(116)
「3月」
長く生きるとその分だけ
思い出は増える
病床の母に枕元で歌を歌ったのが3月
卒業で初めて花束をもらったのが3月
親切だった同僚と異動で別れた3月
3月は「さようなら」の月だ
誰もが何かに区切りを付け
ここから旅立ってゆく
それなら今年は私も
あれもこれもにさようならしてしまおうか
全てを終わりにしてしまいたいと
今まで何度も考えたことはあるけれど
でもその絶望から
私達は必ず再生する
春の風に肩を押され
古い思い出に別れを告げ
再び歩き出す
3月
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