すごいぞ、郡山
2018年の9月にイングレス(Ingress)というゲームの「ミッションディ」というイベントが福島県の郡山市であり、私も行ってきました。
イングレスというゲームは、スマートフォン位置情報を元に、地図を見ながら実際のいろいろな場所を周って遊ぶゲームなのですが、ミッションディというのは「スタンプラリー」のように、決められたチェックポイントを周るというイベントです。
9月のイベントに合わせて12個の新しいミッション(スタンプラリーのコース)が作られましたが、9月のイベントの日には私は半分の6ミッションしか周れませんでした。歩いて周ったらけっこう距離があってへとへとになってしまってね…。
全部周らなくてはいけないというルールがあるわけではないのですが、せっかく行ったのに半分しか周れなかったのが残念で、10月に再チャレンジ。
残りの6ミッションをするために郡山へ。
距離があるのは分かってたので今回は自転車をレンタルするつもりだったのですが、なんと当日、レンタル自転車をやってる施設が臨時休業なのが発覚。がっくりきましたが、前泊までして準備万端で来たのにこのままスゴスゴ帰るわけにもいかないし、天気も快晴、とにかくやってみるしかない。
バスで、前回、途中で終わったスタンプラリーの場所まで移動し、そこからミッションを始めました。
郡山市。
皆様、ご存知ですか。
私は実は9月のイベントで来たのが初めてです。存在は知っていましたが降りるのは初めて。
なんだかとても面白い場所でした。
県庁所在地でもないのになかなかの発展ぶり。静岡の浜松とか、群馬の高崎とか、埼玉の大宮とか(大宮はさいたま市になっちゃいましたが)そういう場所はここだけではないですが、後で調べたところ、郡山市は東北では仙台に次ぐ大都市だそうです。
福島県のちょうど中心にあたり、県内の市の人口では沿岸のいわき市に負けるものの第二位とのこと。なぜ郡山は福島県の県庁所在地ではないのでしょう。後で調べたらちゃんと理由はありました。
スタンプラリーで周っているとたくさんの歴史的建造物があり、立派な公園があり、なぜこの場所がこれほど発展しているのか本当に不思議です。
というか、なぜ、知らないんだろう、私。
福島県という場所は現代の私たちにとっては不思議に思えますが、そもそも江戸から明治に変わるときに武士側に着いた会津藩だったところです。
そのせいか、日本史の本流から外れてしまい、ほとんど歴史の授業でもやらないんですよね。
明治維新で近代化に向け歴史がダイナミックに動くとき、主役は西の地域がほとんどで、東側は忘れ去られてしまったようになります。
郡山という場所は、江戸時代は奥州街道の宿場町だったのですが、当時はそれほど人口も多くなく、荒野が広がる場所だったそうです。「水利が悪い」とウィキペディアにはありますが、要は水の便が悪い場所で、耕作もしずらく人が住みにくい場所だったんですね。
ここからは、安積(あさか)高校の古い木造校舎が現在は安積歴史博物館になっており、そこの情報。
(ところでなぜ「安積」って書いて「あさか」で読むのかも謎です。昔からこの場所は「あさか」と呼ばれていたらしいですがそれに「安積」という漢字を当てたのは誰で、どうしてだったのかしらねぇ。)
明治維新によって武士が大量に失業したため、明治政府は武士の処遇に困っていました。実際、反乱とかもあったようです。その対策として、この荒野、「安積原野」を開拓し、そこに士族を入植させようという構想が当時の明治政府に生まれます。
そこから、猪苗代湖の水を荒地に引いて、阿武隈川に流す「安積疎水」の工事が国営事業として始まります。
無論、いろいろと紆余曲折を経て、のようですが・・・
これ、朝ドラとかにしたらどうかな? てか過去、ドラマになったことある?
広大な荒野を豊かな農地に変える広大なプロジェクト。「プロジェクトX」ですね、まさに。
歴史はあまり詳しくないですが「安積疎水」の話はとてもわくわくしました。当時を伝える記念碑やオブジェがあちこちにあり、街を歩いていても楽しいです。開成山神宮や開成館など当時からある建物も残っていますしね。
そうして郡山は今や大都市へと変貌し、現代に至る。
大河や朝ドラにするには地味かなぁ。確かにあまり有名じゃないしなぁ。
でもすごいプロジェクトだったと思うのですよね。
以前、東北の小岩井農場のプロジェクトを知ったときもすごいなぁととても感動しました。
小岩井農場のある場所も広大な原野で、現在のような森や牧場にするために、大変な努力が費やされました。
今も持続可能な森林の維持のために、小岩井農場のプロジェクトは継続中です。
人間の寿命もはるかに超えて、未来に向けて「今」を作る。
そういうプロジェクトにロマンを感じてしまいます。
人間もそんなに悪いもんじゃないなぁと思ったり。
すごいですよ、郡山も。もし機会がありましたら、降りて街を歩いてみてください。
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