ダンデライオンの「本当の孤独」とスカーレット
まだ小学生だった頃、松任谷由実の歌で「ダンデライオン」という歌がヒットしていました。
歌詞の一部を引用します。
(引用開始)
君はダンデライオン
本当の孤独を今まで知らないの
とても幸せなさみしさを抱いてこれから歩けない
私はもうあなたなしで
(引用終わり)
小学生だった当時の私には正直、この歌詞の意味が分かりませんでした。
「本当の孤独」とは?
今は想像つきます。
私はこれまでの人生の中で一人がデフォルトなので、いわゆる「孤独のさみしさ」というものを知りません。
想像することしかできませんが、多分、愛する人ができて、家族がいて、愛する誰かが側にいる時間を経験してしまうと、もう一人には戻れない。
けれど、生まれ落ちてずっと孤独ならそれが当たり前なのでさみしさを感じることはできない。
それが「本当の孤独を今まで知らない」の意味ではないか、と。
当時の私は、いつかは自分も「本当の孤独」を知る日が来るのかな〜と思っていました。
でも、結局、今も本当の孤独を知らないままだなぁ。
だって愛する誰かがそばにいたことがそもそもないんだもの。
最近、朝ドラの「スカーレット」を見ているとモヤモヤする気持ちを抑えきれません。
スカーレットの主人公の女性は、女性陶芸家として成功するのですが、それと引き替えに愛する夫を失ってしまう。
夫は主人公のことを「陶芸家」としてではなくずっと「女」として見ていた。
自分の守るべき家族であり妻であると思っていました。
だから危ないこともして欲しくないし、失敗して傷ついて欲しくない。
主人公が陶芸に財産をありったけつぎ込み、何度失敗しても何度も何度も挑戦する姿を見て
「もうやめてくれ」
と何度も訴えていました。
結局、主人公は最後に成功するんですが、当時、それを止めようとする夫は彼女にとってカセでしかなく、夫自身も彼女の成功を見届けた後、彼女の元を去ります。
まあ、それはそれでよい、というか、そういうことってあるよね、というか。
だって、もしも男性と女性が反対で、夫が成功するかしないかも分からない事業に全財産をつぎ込んで失敗ばかりしていたら、妻は子供を連れて出て行きますよねぇ。
生き方や考え方は人それぞれで違うので、私はそれが違っても共に生きていくことができるパートナーのあり方、というのはあるとは思うのですが、普通に考えると家族は一心同体なので、パートナーのどちらかの生き方に家族が引き擦られて犠牲になってしまうよりは、離別を選ぶのは正しい選択だと思うのです。
そこまではいいとして、最近ちょっとドラマ「スカーレット」の雲行きが怪しくて。
夫が出て行き、子供も成長して自立して家を出て行き、母親は亡くなって、一人で暮らしている主人公がさみしくてさみしくて、なのに普段はそれを口にできない、なんてエピソードが物語の軸になっています。
もしかすると夫と再び家族に、なんて展開になるのかもしれませんが、なるならなるでとっとと元サヤに戻ればいいのに…
私は、これまで何度も言われてきましたが
「結婚しなかったら年をとってからさみしいよ」
っていうのセリフは「呪い」だと思っています。
さみしいと感じる人もいるでしょうけど、正直、私の感覚としては、好きでもない人と結婚して我慢して家族を続けていくことの方がよっぽど「罰ゲーム」だと思うんですよね。
もう一度書きますが、私は「本当の孤独」を知りません。
だから今、一人でいることを後悔したことはないし、小さい頃からずっと誰にも傷つけられず、誰の干渉も受けないで暮らしたかったので、今の生活は自分の理想だと思っています。
「誰にも傷つけられず、誰の干渉も受けないで暮らしたい」
これって、自分だけかと思っていたら、昔、「はみだしっ子」のグレアムも同じようなこと言っていたなぁ。そのくせグレアムにはちゃんと孤独を分かち合う友達がいましたけどね。
というわけで…私は普段、今の生活をさみしいともなんとも思ったことがなくのほほんと生きていますが、NHKの朝ドラ「スカーレット」で呪いの言葉を聞くとどうも無関心では居られません。
別に、さみしいくせに意地を張っているわけではないんだけどな。
まあ、共に生きる誰かと出会いたかったなぁ、という、もうおそらく生涯叶わない夢はあるので、そのせいで愛するパートナーがいる暮らしというのを想像するとうらやましさでちょっともやっとするのかもね。
これを読んでいる人にはもう分かったと思いますが、「共に生きる誰か」と出会いたいと思っているにもかかわらず「傷つきたくない」なんて言っているのは「臆病」であり、「保身」でしかないです。
傷つくことを恐れていては人を愛することなんてできないし、愛されることも叶わない。分かっていますとも。
分かっているからこそ、若い頃には自分なりにチャレンジも失敗もしてきたもんな。
この先、まだチャレンジや失敗を繰り返すんだろうか。
それとも本当の孤独を知らないまま、生涯を閉じるのかしら。
未来はまだまだ分かりません。
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Comments
席だけ残っている妻と別居して30年近く、子供達も独立して、私は今独居老人ですが、ほとんど淋しいと思ったことはありません。
人恋しいときが無いことは無いので、そのときだけひとり旅に出かけるか、友人に会いに行きます。
それで充分幸せに生きています。
孤独をなでさすっていても何も得るものがありません。
Posted by: OKCHAN | 2020.03.25 08:32